術後縫合不全の基礎知識
術後縫合不全の基礎知識【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2014年10月24日
最終更新日:2018年06月30日
(変更日:2014年10月2日) ※
目的
- 術後縫合不全の基礎知識について理解を深め、適切なケアができる
疾患の概要
- 縫合不全は、術後7日目までに起こりやすい
- 手術時の縫合部における生理的癒合が障害され、縫合部が破たんした状態
- 感染対策が不十分な場合、炎症による全身状態の悪化となり、多臓器不全などの重篤な合併症を引き起こす
治療
- 大きな縫合不全がある場合、ドレナージ術、中心静脈栄養、禁食などの治療が必要である
- 必要時は間欠的持続吸引器装着によるドレナージを積極的に行う
生理食塩液を用いたドレーン洗浄は縫合不全を悪化させる恐れがあるため、基本的に行わない
観察項目
- バイタルサイン(発熱の有無)
- ドレーンからの排液の色・性状・量、臭い、脱気の有無と程度
- ドレーン固定のずれ、屈曲、閉塞の有無、ドレーン周囲の感染徴候
- 腹壁の性状(膨隆・緊満)、腹部症状(吐気・ 嘔吐)、疼痛の部位・程度
- X線・ CT所見
- 栄養状態、血液データ(貧血など)
- 感染症の有無、糖尿病・肝硬変など慢性基礎疾患の有無
- ステロイド剤使用の有無
上部消化管手術の場合は胆汁の混入、下部消化管手術の場合は便汁の混入など、臭気を伴う排液となることがある
アセスメント
- 縫合不全により消化管の内容物(消化液や便汁など)が腹腔内に漏出する
- 腹膜炎などの重篤な状態が引き起こされる場合がある
- 栄養管理とドレナージ管理が適切に行われれば、保存的治療となる場合もある
- 腹膜炎を合併した場合は再手術を検討する
看護のポイント
- 縫合不全の保存的治療を行う場合は、積極的なドレナージ、中心静脈栄養法・禁食による栄養管理が基本となる
- X線透視下での造影にて縫合不全の診断を行う場合、造影剤の影響により下痢をきたすことがあることを事前に説明する
- 検査後は造影剤が原因で下痢をきたす可能性があることを事前に患者に説明する
- 検査後はトイレに頻回に行く可能性があるため、高齢者の場合はポータブルトイレの設置など周囲の環境を整える
- 縫合不全でも、術後イレウスを予防のため、離床を積極的に行う場合がある
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
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