術後感染対策の基礎知識

術後感染対策の基礎知識【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2014年10月24日
最終更新日:2020年08月31日
(変更日:2020年9月1日) ※

目的

  • 術後感染対策の基礎知識について理解を深める

概要

  • 消化管とは、口腔から肛門までの、管状の組織をあらわす
  • 消化器外科の手術とは、消化管ならびにそれを関係する臓器が対象となる
  • 消化管は外界と繋がっていると捉えられ、また腸内細菌などが存在することにより、消化管内は体内ではあるが、骨や胸腔内などにくらべ清潔度が低いと考える必要がある
  • 消化管手術では上記理由により患部やその周辺の組織の清潔度が一時的に低くなることが多く、腹腔内における感染のリスクは高くなる
    • 手術創、医療従事者の体液曝露、多くのドレーン類の留置など、感染因子が非常に多い
  • 医療者はスタンダードプレコーション(標準予防策)を徹底し、患者の安全とともに、医療従事者の安全を確保することも重要
  • 消化器外科術後の感染に対しては、熱型が特徴的なものもあれば、自覚症状の有無に関わらず、血液データ上などから異常が発見される場合もある
  • 患者の周辺領域には常に感染源があることを認識する必要がある
  • 感染が疑われた場合には、速やかに医師に報告を行い、対処を行う

アセスメント

消化器外科術後に起こりやすい感染

代表的な感染

  • ドレーン感染
  • 手術部位感染
  • 点滴刺入部感染
  • 泌尿器(尿路)感染

その他の感染

  • 縫合不全、膿瘍形成
  • 消化管潰瘍、腸炎
  • 基礎疾患による感染
  • 肺・腹部合併症
  • 静脈血栓 など

看護のポイント

手指衛生

  • 石けん・流水による手洗いと速乾性手指消毒薬を用いる方法がある
  • 体液や血液の付着など、目に見える汚染が見られた場合、必ず石けん・流水での手洗いを行う

手指衛生のタイミング

  • 患者や患者の周囲の物品などに接触する前後
  • 無菌・清潔操作の前
  • 体液曝露のリスクがあった後
  • 消化器外科領域の場合
  • 滅菌操作による処置時
  • ガーゼ交換
  • 汚物処理
  • 輸液管理
  • 排液破棄
  • 創部観察
手袋の使用は手洗いの代用にはならない

衛生学的手洗いの手順(最低、15秒以上は洗う)

  1. 石けんを十分に泡立て、手のひらを合わせて入念にこすり洗う
  2. 手の甲を伸ばすようにして洗い、爪先や指の間も十分に洗う
  3. 手のひらと親指をねじり洗いし、手首も忘れずに洗う
  4. 手洗い終了後、完全に乾燥させる
  • 消化器外科では、多くのドレーン類の留置、創部の観察、絶食期間の長期化に伴う輸液管理、汚物・吐物の処理など、手指消毒が必要な場面が非常に多い
  • 医療者側も手荒れを起こしやすくなるが、手荒れは感染原因となることもあるため、予防策も必要である
速乾性手指消毒薬を使用する際にも同様の手順で行う

個人防護具の使用

  • 患者にケアを行う場合は、曝露を防止するために個人防護具(ディスポーザブル)を着用
  • 基本はマスク・エプロン・手袋であるが、状況に応じてゴーグルの使用も検討する

創部の管理

  • 創部が排泄物に汚染されやすい状況になる場合は、創周囲の管理や保護材を使用し、創部の清潔を維持する

ドレーン管理

  • 同時に複数のドレーンが留置されることも多いため、観察をしっかり行う
  • ドレナージ不良や逆行性感染には十分注意する
  • 不潔な排液の廃棄後は、すべての防護具を交換する
    • 同じ防護具を着用したまま清潔排液の操作はしない

個室管理

  • 検出菌の種類や排菌によっては、感染拡大を予防するため、医療従事者をはじめ、面会者への周知徹底も重要
  • 場合によっては個室管理が必要となる場合もある

抗菌剤の使用

  • 炎症の度合いや血中濃度など血液データを適宜確認する
  • 発熱など全身状態などもあわせて評価を行う
  • 耐性菌の出現を防ぐため、抗菌薬の長期間の投与や予防的な使用は避ける

汚物処理

  • 禁食や観血的処置などの影響により、腸炎を起こす危険性がある
  • 腸炎の初期症状は下痢が多い
    • 通常の汚物処理方法を行うことで、水平伝播の危険性が低下する可能性がある
  • 下痢が続いている場合は、原因の特定を早期に行い、必要時は薬剤投与を行う
  • 処置の際に使用した手袋や汚染したおむつなどは、速やかにビニール袋に入れて密閉し廃棄する
    • ベッド上や床などに直接置かない
  • 胃腸炎などの吐物なども含め、周囲が汚染した場合は必要に応じ、清掃だけでなく消毒も行う
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