術後DVTの基礎知識
術後DVTの基礎知識【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2014年10月27日
最終更新日:2018年06月30日
(変更日:2014年10月23日) ※
目的
- 術後深部静脈血栓症(DVT)の基礎知識について理解を深める
疾患の概要
- 術後DVTとは体内で静脈血流がうっ滞することが原因で血管内に血栓が生じる病態
- はがれた血栓が肺動脈に詰まると、肺塞栓症が起こる
- 呼吸困難や心停止などの重篤な症状を来たす可能性が高くなる
診断・検査
画像診断
造影CT
- 肺動脈内にある血栓像の有無で診断ができる
- 下肢静脈でも撮影が可能
心エコー
静脈エコー
- 下腿のヒラメ筋静脈、大腿静脈~腋窩静脈までに存在する深部静脈血栓症の診断が可能
肺血流シンチグラフイー
- 造影CTと比較すると、時間を要する上に放射性核種(RI)が必要
- 緊急時の検査としては適していないが、高感度であるため末梢の肺塞栓症を診断する際には有効
凝固系検査
- 血栓が溶解するとFDP(フィブリン分解産物)とDダイマーが発生する
- Dダイマーは除外診断に使われることが多い
- 正常範囲:肺塞栓症やDVTを否定できる
- 高値:皮下血腫で高値となるため、打撲外傷などがある際は慎重に診断する
治療
- 抗凝固療法と圧迫療法が基本となる
- 痛みを伴う閉塞所見や血栓による下肢の腫脹が強い場合は、血栓吸引療法やカテーテルによる血栓溶解が行われる
- その場合、血栓が肺に達して肺塞栓症を起こ危険性があるため、下大静脈フィルターの留置を行う
観察項目
- 下肢腫脹、表在静脈の怒脹の有無
- 疼痛(圧迫痛)・発赤の有無と程度
- 爪床・皮膚のチアノーゼの有無
- 発熱の有無
- 尿量、尿回数、飲水量
- 下肢運動の実施状況
アセスメント
- 長期間ベッド上安静となる場合、下肢のうっ血が起こりやすくなる
※筋ポンプが有効に使用されないため - DVTは臨床症状がはっきりしないことが多く、早期診断が困難である
- 長期臥床による血液のうっ滞も原因であるため、入院患者における発生率が高い
- 肺塞栓を起こすリスクが高いため、予防策を講じることが重要である
看護のポイント
- 看護師が行うケアは主に血流停滞予防となる
- 脱水予防、間欠的空気圧迫法、弾性ストッキング、弾性包帯などの圧迫療法、早期離床へのアプローチが重要である
- DVT予防について患者や家族に予防法の必要性を十分に理解してもらい、適切な予防対策を行う
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