二次性高血圧の基礎知識

目的

• 二次性高血圧の基礎知識について理解を深め、適切なケアを行う

疾患の概要

• 高血圧の原因は大きく2つに分かれる
  • 原因不明の本態性高血圧
  • 高血圧の症状を呈する明らかな原因疾患がベースとしてある二次性高血圧
• 本態性高血圧と、二次性高血圧症の割合は9：1である
• 二次性高血圧症の割合は腎実質性高血圧が55％、腎血管性高血圧症が20％、それ以外（血管性、神経性、内分泌性、薬物性）が残りを占めている

本態性高血圧と二次性高血圧症の鑑別

発症年齢

• 本態性高血圧：35～60歳
• 二次性高血圧症：35歳未満あるいは60歳以上

家族歴

• 本態性高血圧：あり
• 二次性高血圧症：ない場合が多い

身体所見

• 本態性高血圧：特異的所見が見られる
• 二次性高血圧症：正常

一般検査

• 本態性高血圧：正常
• 二次性高血圧症：腎機能異常、電解質異常、内分泌検査異常、たんぱく尿など

降圧剤に対する反応

• 本態性高血圧：良好
• 二次性高血圧症：治療に対して抵抗性が認められる

症状の進行

• 本態性高血圧：緩徐
• 二次性高血圧症：急速

治療

• 基礎疾患の治療を行うことで、症状の軽快が見られる場合がほとんどである
  • 内分泌性高血圧における腫瘍の除去
  • 腎血管性高血圧における腎動脈狭窄の解除 など、

アセスメント

• 特定の原因があって発症する高血圧を二次性高血圧といい、基礎疾患の症状のひとつである

二次性高血圧の種類

腎性高血圧

• 全高血圧の2～5％、二次性高血圧の約75％を占める

腎血管性高血圧

• 腎動脈の狭窄などが原因
• 腎血流量の低下が起こったために、腎臓の傍糸球体装置からのレニン分泌が高値となって高血圧を来たしたもの

腎実質性高血圧

• 慢性腎盂腎炎、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎炎などの腎実質性疾患が原因となる

血管性高血圧

• 大動脈縮窄症
  • 動脈管部を中心として生じる大動脈弓の先天性狭窄
• 高安動脈炎
  • 肺動脈や大動脈あるいはその一次枝などの太い動脈にできやすく、非特異的炎症とその瘢痕化により、二次的に拡張、狭窄、閉塞を生じる動脈炎

内分泌性高血圧

• 全高血圧の1％程度
• 原発性アルドステロン症
  • 副腎皮質球状層における原発性病変により、アルドステロンが過剰分泌され、腎尿細管に作用してカリウムの喪失やナトリウムの蓄積をきたす
• 褐色細胞腫
  • 交感神経節細胞や副腎髄質細胞などクロム親和性細胞から発生する腫瘍で、カテコラミンを大量に産生、分泌することで代謝亢進や高血圧などを示す
• クッシング症候群
  • 副腎過形成、副腎腫瘍、下垂体腺腫などにより、主にコルチゾールが過剰に分泌されて起こる疾患
• 甲状腺機能亢進症
  • 甲状腺からのホルモン分泌、産生の過剰によって甲状腺中毒を生じる病態
    バセドウ病がその代表である
• 先端肥大症
  • 成長ホルモン（GH）の分泌過剰症であり発病時期が骨端線の閉鎖前では巨人症閉鎖後であれば先端巨大症となる
• 神経性高血圧症
  • 脳出血・脳炎、脳腫瘍などが原因で起こる

その他

• 閉塞性睡眠時無呼吸症候群（OSAS）
  • 睡眠時に上気道が閉塞、1時間に5回以上、10秒以上の呼吸が停止する病態
• 妊娠高血圧症候群
  • 妊娠後期に発症する、高血圧と蛋白尿を特徴とする症候群
• リドル症候群
  • 著明にアルドステロン活性が抑制されているにもかかわらず、原発性アルドステロン症と非常に似た症候を呈す