頸椎前方固定術後の脱転の予防とケア
頸椎前方固定術後の脱転の予防とケア【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2014年11月14日
最終更新日:2018年11月27日
(変更日:2020年5月22日) ※
目的
- 頸椎前方固定術後の脱転の予防とケアについて理解を深め、適切なケアを行う
- 脱転を予防し、移植骨を安定化させて骨の癒合を早めるため、基本的に外固定(ハローベストなど)や内固定(プレートなど)を併用する
治療
- 以下のような場合、状況に応じて再手術が必要となる
- 脊髄や神経根を圧迫していると思われる症状がみられる場合
- 食道の損傷、脊髄や神経根を圧迫している場合
- 移植骨が脱転し、不安定な場合 など
アセスメント
- 脊椎へ前方からアプローチするためには、神経根や脊髄の前には椎体や椎間板が存在しているため、これらを掘削あるいは摘出して、治療目的である神経根(脊髄)に到達する
- 椎体や椎間板を摘出した場合には、脊柱としての機能が失われるため、手術中に骨移植や人工骨、チタン骨などの固定が必要となる
- 頸椎前方固定術後の脱転は、以下の方法で確認する
- 多くの場合、単純レントゲン写真
- 下位頚椎ではCT撮影が必要な場合がある
- 食道の損傷の診断には食道造影や胃カメラ
- 脊髄損傷の診断にはMRIでの診断が必要となる
頸椎前方固定後の脱転
- 移植骨の癒合には約3ヶ月程度を必要とするが、完全に癒合するまでは6か月~12か月要するといわれている(個人差あり)
- 前方固定術後は、術直後から骨癒合するまで移植骨が脱転する可能性が高くなる
- 脱転の危険性が高いのは、特に術直後から術後約1か月位である
- 脱転した場合は以下のような問題点がある
- 固定性の損失
- 前方に脱転した場合は気管や食道を、後方に脱転した場合は脊髄を損傷する可能性
- 軽度のものであれば嚥下痛、頚部痛、咽頭の違和感が生じる
- 手術によって起こる症状と脱転の症状はよく似ているため、鑑別が難しい
看護のポイント
- 症状が増悪する場合は、脱転が疑われる
- 重篤な症状(喋下困難、麻痺、しびれ、筋力低下など)が出現した場合は、経過観察をせずに、速やかに医師に報告する
- 場合によっては、緊急手術が必要となる場合がある
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
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