目的
無菌操作の基礎について理解を深め、適切な手法を身に付ける
清潔と汚染の区別
- 無菌:全ての微生物が存在しない状態
- 清潔:汚染がなく綺麗な状態(微生物の存在の有無は限定されない)
- 汚染:微生物や有機物などが付着している状態
無菌操作とは
- 感染リスクが非常に高い医療行為(手術・外科的処置・カテーテル挿入など)おいて必須となる操作のこと
- 滅菌された物品や器具を、無菌状態(汚染されていない状態)を保ちながら操作する
- 無菌操作は滅菌されたガウンや手袋を着用して行う
無菌操作が必要となる例
- 挿入するカテーテルを介して、病原体が侵入する危険性がある場合
- 手術:術野へ侵入する危険性がある
- 中心静脈カテーテル挿入:血管内へ侵入する危険性がある
- 開放式気管吸引:気道内へ侵入する危険性がある
- 膀胱留置カテーテル挿入:カテーテルを介して尿路に侵入する危険性がある
- 血液培養検査:採取した血液がコンタミネーション(汚染)を起こすと正確な検査結果が得られない
無菌操作を行う際の準備
- 無菌操作を行う前に無菌操作を施行するためには、以下の準備が必要
- 環境の確保
- 滅菌物の滅菌状態の確認
- 衛生学的手洗いの実施
無菌操作を施行するための環境の確保
- 人の出入りの多い場所や水気のある場所は、ほこりや水分などにより無菌性を保つことが困難なため、無菌状態を維持するのが難しい
- 十分な広さがあり、安定性を維持できる場所を確保する
滅菌物の状態の確認
滅菌物として使用可能なことを以下の3点から確認する
- インジケーターの色が、滅菌前の色から、滅菌後の色に変色しているか
※メーカーにより、それぞれの色や表示形式が異なるので注意する - 滅菌包装物の水漏れや破損の有無
- 有効期限内であるか
- 保管の際は滅菌物の汚染や水濡れを防止するために、ゴミ箱やシンクから離れた場所に保管する
※閉鎖型の棚に、物品同士にゆとりを持たせて保管することなどの配慮があればより良い
衛生学的手洗いの実施
- 無菌操作を実施する前は必ず衛生学的手洗いを実施する
- 速乾性アルコール消毒薬による手指消毒:目に見える汚染がない場合は、第一選択として行う
- 石鹸と流水による手洗い:目に見える汚染がある場合に行う
清潔区域の作り方
- ワゴン(処置台)と滅菌ドレープ(覆布)を準備する
- マスク、キャップを着用後、手指衛生を施行し、手袋(未滅菌)を装着する
- アルコールタオルなどでワゴンを清拭消毒し、手袋(未滅菌)を新しい物に交換する
- 滅菌パックを外側へめくるように開封し、滅菌ドレープの内側に触れないように注意しながら鑷子や鉗子などで包布の端を持って取り出す
- 周囲の物品や床もしくは自分の身体に触れて不潔にしないよう注意しながら鑷子や鉗子を使用してドレープを広げる
滅菌包の開け方
- 滅菌パックの破損や汚染が無いか、滅菌済みのインジケーターであることを確認する
- 滅菌パックを開け、滅菌包を中から取り出す
- 滅菌包の端が手前になるように置く
- 手前に置いた包布の端を持ち、ゆっくりと奥へ向かって開く ※未滅菌の手袋を装着した指で保持できるのはここまで!
- 滅菌済みの攝子や鉗子を使って、内側の包布を左→右→手前の順番で開く
滅菌物取り扱い
滅菌パックの開封と、中にある器具の受け渡し
-
- 開封する面を上向きにし、両手で持つ
- パックを外側にめくるように、内側の清潔部分に触わらないように留意しながら、十分に滅菌パックを開く
- 処置をする相手に直接渡す場合:清潔区域内で受け渡しをすると、菌が落下したり、物品の包装を清潔区域に落とし、汚染する危険性があるため、受け渡しは清潔区域の外で行う
- 滅菌物を清潔区域に投げ入れて渡す場合:介助者の身体や物品の包装が清潔区域に触れないようする