血液ガスと酸塩基平衡の基礎知識
血液ガスと酸塩基平衡の基礎知識【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年4月27日
最終更新日:2018年05月05日
(変更日:2015年4月17日) ※
目的
- 血液ガスと酸塩基平衡の基礎知識について理解を深め、適切なケアを行う
血液ガスとその分析
- 血液ガスとは、血液の中に含まれている酸素や二酸化炭素などのガスのことをさす
- 一般的には、動脈血液中のガス分析を行うことを「血液ガス分析」とよぶ
- 全身の全ての動脈は同じ組成を持っており、より抹消から採血する動脈血サンプルでも、肺のガス交換機能の状態を表しているとみなす
- 動脈血液中の酸素分圧(PaO2)と二酸化炭素分圧(PaCO2)、およびpHや重炭酸イオン(HCO3-)などを調べ、異常の有無を調べる
- ガス交換の指標:PaO2、PaCO2、SaO2(動脈血酸素飽和度)
- 酸塩基平衡の指標:pH、PaCO2、HCO3– 、BE(過剰塩基)
酸塩基平衡とは
- 正常な人の場合、血液はpH7.35~7.45、軽度アルカリ性となっている
- pHを正常範囲内に調整するメカニズムが酸塩基平衡である
- アシドーシス:pHが低下し、酸性側に傾いた状態
- アルカローシス:pHが上昇し、アルカリ側に傾いた状態
生体が生存可能なpHの範囲は6.8~7.8といわれている
- pHの調節は大きく、緩衡系による輸送と体内からの除去に分かれる
- 水素イオン(H+)濃度の変化を小さくするメカニズムのことを緩衡作用とよぶ
- 血液ガスと酸塩基平衡を考えた場合、最も重要な緩衝系は、炭酸-重炭酸緩衝系であり、以下の式で表される
- HCO3–+H+ ⇄ H2CO3- ⇄ H2O+CO2
- この緩衝系にH+を加えると、反応は右側へと進む → H+の上昇を抑制
- 上昇したH2CO3–はさらに右へと反応が進む → 二酸化炭素を産生
- H+が増加した時
- HCO3–の同時消費が起こる
- HCO3–は腎臓で再吸収されて調節される
- 腎臓でHCO3をの再吸収したり、肺で換気(二酸化炭素排泄)を行うことで、炭酸-重炭酸緩衝系は、つねに飽和されず、水素イオンの緩衝系として作用する
- 体内で作られた水素イオンや二酸化炭素が体の外へ排出されない場合
- 炭酸-重炭酸緩衝系が破綻が起こる
- 血液のpHが低下し、生命維持が不可能となる
- pHの維持には、肺と腎臓での酸塩基調節が重要な役割を果たしている
肺:呼吸中枢の機能を介している分時換気量の増減により、PaCO2に変化が起こる
腎臓:近位尿細管における再吸収の程度によってHCO3–に変化が起こる
血液ガスデータの解釈手順
ガス交換の指標に着目し、その後で酸延期平衡の指標を確認する
- PaO2:酸素化に関する問題があるか
- PaCO2:換気が維持されているか
- pH:アシドーシス、アルカローシスの有無
- pH、PaCO2、HCO3–:酸塩基平衡の異常の有無
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