慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年5月11日
最終更新日:2018年09月25日
(変更日:2018年11月15日) ※

目的

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療について理解を深め、適切なケアを行う
  • COPDの治療として、禁煙指導、呼吸リハビリテーション(運動療法・食事療法・患者教育)、薬物療法、酸素療法、換気補助療法などの内科的療法、ならびに外科的治療がある

内科的治療

COPDの治療は、まずは禁煙指導から始まり、疾患の進行度に応じて、呼吸リハビリテーション、薬物治療、酸素療法などが行われ、最終的には外科的療法が検討される

禁煙指導・禁煙治療

  • 禁煙は、COPDの発症リスクを減少させる最も効果的な治療法
  • 発症後でも、軽症であれば呼吸機能の低下を防ぎ、COPDの進行を抑制することができる
  • ニコチン依存症の外来患者に対する禁煙治療は、一定の条件を満たしていれば、保険適応となる
  • 禁煙治療はニコチン置換療法(薬物療法)と行動療法を共に行う
禁煙をしなければ、他の治療をおこなっても十分な効果は期待できない。COPDの治療の基本は禁煙である

ワクチン接種

  • COPDは、特に呼吸器系の感染症にかかると、急性増悪をおこしたり、重症化しやすい
  • 呼吸器系の感染リスクを減少させる目的で、肺炎球菌やインフルエンザのワクチン接種を行う

薬物療法

  • 気管支拡張剤(β2刺激薬、抗コリン薬、キサンチン誘導体)を使用し、重症度に合わせて数種類の薬物が併用される
  • 気管支平滑筋の弛緩作用により、運動耐容能が向上し、肺の過膨張が改善される
  • β2刺激薬、抗コリン薬、キサンチン誘導体それぞれの薬剤は作用機序が異なっているため、薬剤の単独使用で十分な効果が得られない場合は、多剤を併用する
投与方法は吸入が望ましい

ステロイド薬

  • 経口ステロイド薬の長期投与は、有効性も高いが、副作用も多い
  • 慢性安定期に入っている場合は、長期投与を避けることが望ましい
  • 増悪頻度を減少させる効果を期待し、作用機序が異なる、吸入ステロイド配合薬/長時間作用性β刺激薬を混合させることもある
    • 呼吸機能や呼吸困難感、運動耐容能を改善しやすいため

マクロライド系薬剤

  • COPDの増悪頻度を抑制には、長期投与が望ましい

喀痰調整薬

  • COPDの憎悪の期間と頻度を減少させる

呼吸リハビリテーション

運動療法:定期的に継続して行う

  • 胸郭可動域運動およびリラクセーションや呼吸訓練を行うことで、運動療法の効率をあげる
  • 全身の持久力を向上するためのトレーニングとしては、下肢運動が推奨される

患者教育:運動療法とともに、呼吸リハビリテーションの中心となる

  • 目的は、患者が自己の疾患と向き合い、セルフマネジメント能力を向上させること
  • その為には、医療者との良好なパートナーシップを構築することが必要
  • 具体的には、息切れに対するパニックコントロール、口すぼめ呼吸などの指導や、日常生活における動作要領の獲得など

栄養療法:COPDの予後を左右する因子の1つに体重減少がある

  • 呼吸筋のエネルギー消費に伴い、安静時エネルギー消費量も120~140%に増大している
  • 適切な栄養摂取を行わないと、特に運動をしていなくても、体重が減少する
  • 体重減少は、入院のリスクが増加し、QOLの低下・増悪へとつながる
  • さらに、呼吸不全の進行、死亡リスクも増加する
  • 食事摂取量の減少が続いたり、%IBW<80% の中等度以上の体重減少がある場合は、栄養補給療法を検討する

酸素療法:在宅酸素療法=HOTの有効性が高い

  • 低酸素血症があるCOPD患者の場合、HOTによって生命予後の改善が期待できる
  • HOTの適応
    • PaO260Torr以下で、運動負荷時や睡眠時に著明な低酸素血症をきたす場合
    • あるいはPaO250Torr以下で医師がHOTの必要性を認めた場合
  • HOT中、随伴症状として高二酸化炭素血症がみられたら、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)などの併用も検討する

NPPV:非侵襲的陽圧換気療法

  • NPPVは導入が容易であり、侵襲度も低いため、慢性安定期では第一選択となりやすい
  • NPPVの適応
    • 眠気や呼吸困難などの症状、夜間の低換気などの睡眠障害がある
    • あるいは、心不全徴候および高二酸化炭素血症が認められる

外科的治療

  • 最大限に内科的治療を行っても有効な効果が得られない場合に検討する
    • 身体へのリスクも大きいため、Ⅲ期あるいはⅣ期程度まで重症化すると適応となることが多い
  • 気腫性病変が上葉優位に偏在している運動能力の低いCOPD患者の場合、肺用量減量手術(LVRS)により生命予後の改善が期待できる
  • 気管支鏡下肺容量減量手術(BLVR)は低侵襲性であり、現在開発段階である
  • 場合によっては、肺移植が検討される

アセスメント

  • COPDの重症度により、適応となる治療法が変わる
  • まずは禁煙とワクチン接種、これと並行して全身の併存症の診断を管理が行われる
  • 安定期に入った場合、1秒率(FEV1)低下に伴う病期の進行度、症状の程度を考慮し、総合的に重症度を判断の上、治療法の増強を段階的に行う
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