目次
目的
- COPD患者(慢性期)に対する看護ケアについて理解を深め、適切なケアを行う
ケアのポイント
- 禁煙、呼吸リハビリテーション、運動療法や薬物療法などが効果的に行えるよう援助する
- 他職種との連携を図りながら、状況に応じたケアを検討する
- 慢性期における目標:自覚症状の改善、QOLの向上、運動耐容能の維持・向上
- 在宅酸素療法(HOT)や在宅人工呼吸療法が必要となる場合もある
- 患者や家族に対し、管理方法についての説明を十分に行い、管理手技を身に付けるよう指導する
- 社会的な役割を担えなくなることも多いため、精神的サポートも重要になる
観察のポイント
- 呼吸状態の安定化を図りながら、退院後の自己管理のために必要な知識、技術などが習得できているか確認(観察)を行う
計画の実際
気道のクリアランス
- 気道内分泌物を排出させるため、咳嗽を促す
- 必要時、スクイージングを施行する
- 自己排痰や呼吸方法の習得に向けた援助を行う
- 心不全などの水分摂取制限がある場合以外は、水分摂取を促し、痰の粘度を低下させる
呼吸困難の緩和
酸素療法
- HOTを導入する場合、日常生活におけるさまざまな場面(歩行、食事、入浴、排泄など)で、必要な酸素吸入量を検討する
- インターフェイスは、退院後の生活を考慮して選択する
非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)
- NPPV導入となった場合
- 在宅でも実施可能な管理方法や操作について検討する
- 患者や家族と相談しながら、一緒に検討する
ADLの維持
- 呼吸困難が生じやすい動作を、患者とともに確認する
- 例:息を止める、努責をかける、反復運動、腹部の圧迫、上司の挙上など
- 呼気を意識してもらいながら、口すぼめ呼吸を促す
栄養管理
高カロリー食
- 体重を定期的に図り、増加させることよりも維持していくことを目標とする
- 栄養素が燃焼する時に消費された酸素量と、産生される二酸化炭素量の対象比率が少なく、カロリーが高い脂質の摂取を促す
- 便秘により努責をかけることを予防するために、水分摂取を促す
- 栄養補助食品などの摂取も検討し、経口摂取ができない場合は輸液による栄養管理を行う
心負荷を軽減する援助
日常生活援助
- 退院後の生活に向け、必要な場面だけ介助を行うよう心がける
※過剰な負担を避けるためには、呼吸状態とADLに対するアセスメントが必要 - 心臓に負担をかけやすい動作について、患者・家族からの理解を得るため、歩行・食事・入浴・排泄など、日常生活におけるさまざまな場面での脈拍数やSpO2の変化と、その意味を伝える
精神的サポート
不安の軽減
- 患者や家族の思い、意見、苛立ち、予後に対する不安などを受け止め、理解を示す
- 急性増悪時の対応について、理解を得るまで十分に説明する
- 場合によっては人工呼吸器を装着することもあるが、患者や家族の思いを傾聴しながら、意思決定に対する援助を行う
疾患を受け入れるよう支援する
- 言葉だけでは伝わらない部分は、図・表・イラストなど、視覚的な情報とともに、わかりやすい説明をする
- 患者や家族の認識や考え、行動などを一度は受け止め、理解を示す
- 誤った認識や行動については、なぜそう思うのか、なぜそう行動するのかを確認した上で、必要に応じた修正を行う
プライドを尊重する
- できないことに焦点を当てるのではなく、できていることに注目して”認める”ことが必要
- 可能な限り、できることは自分で行ってもらい、モチベーションの向上に努める
- 家族や社会の中で、自己が果たしている役割について、患者自身が認識できるように伝え、称えることも必要
環境調整
- 家族の理解を協力を得るために、家族とも良好な関係を構築する
- 在宅での療養に切り替える際には、社会資源の利用状況について確認を行う
- 在宅での療養がスムーズに始められるよう、情報提供をしながら、退院後の調整を行う