前頭側頭型認知症(ピック病を含む)の基礎知識
前頭側頭型認知症(ピック病を含む)の基礎知識【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年5月8日
最終更新日:2015年5月8日
(変更日:2015年4月17日) ※
目的
- 前頭側頭型認知症の基礎知識について理解を深め、適切なケアを行う
患者割合
- 認知症全体では2~5%程度といわれている
- 近年になって病態が明らかとなったり、分類が変わっていることなどがあり、把握するのが難しい疾患である
病態生理
- 前頭側頭型認知症は、前頭側頭葉の変性によって引き起こされる
- ピック病はその中心であり、病理学的には、ピック球とよばれる異常物質が、脳内に発生している
- 前頭側頭葉変性症には、認知症症候群と失語症症候群がある
- 失語症症候群:言葉は滞りなく話せるが、言葉の理解ができない感覚失語的な意味性認知症と、言葉がスムーズに話せない運動失語的な進行性非流暢性失語がある
- 意味性認知症の場合、言葉の意味や道具の使い方がわからないため、アルツハイマー型認知症と誤診されることも多い
- ピック病は、ピック球と呼ばれる変性組織が大脳皮質に発生する疾患であり、後方型認知症と呼ばれることもある
- 前頭側頭型認知症は、前頭側頭葉変性症の中の認知症症候群のことを指し、ほぼ従来のピック病に相当する
- 若年で認知症になることも大きな特徴であり、多くの患者は64歳以下で発症する
- 前頭葉の機能低下が起こるとさまざまな行動・心理症状が起こる
- 前頭葉の機能:外界や体内の情報に対する衝動的反応の抑制、理性的な行動の保持、計画性や意欲を司る
- 前頭葉そのものの機能低下による症状は、自発性と病識の欠如である
- 前頭葉の内側側面が萎縮していると、CT上では脳室の拡大が確認される
- ピック病の患者はしばしば、人格障害や統合失調症などの精神疾患と、間違われることがある
特徴的な症状
常同行動:同じ動作を繰り返す
異食:食べ物ではない、という認識の欠如
- タオルなど食物以外の異物を口にする
- 口元に鉛筆や箸など長いものが近づくと吸おうとする
- 指しゃぶりをする
食行動の異常
- 他人の食事を盗む:盗みは悪いことである、という認識がない
- 甘いものばかり食べる
- 窒息しそうなほど食べ物を口の中にかきこむ
- 食べ物を噛まずに丸呑みしようとする
感情面の変化
理解力の低下
不合理な行動:「良くないことをしている」という罪の意識の欠如
- 盗癖:万引きなど
- 立ち去り行動:診察中に勝手に立ち去るなど
- 使用行動:勝手に人のものを触る
- 模倣行為:医師の診察時に診察行為を真似るなど
- 反響言語:オウム返し
- 強制的音読:文字を大声で読み上げるなど
尿失禁
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