目的
- 痰に関する基礎知識について理解を深め、適切なケアを行う
痰ができる仕組み
- 気道内に入った異物(唾液、白血球、脱落した上皮細胞、微生物、粉塵など)を取り込んだ気道粘膜は、これらを気道の外へ排出しようとする
- 気道クリアランスという仕組みが働き、痰が作られる
気道クリアランスとは
- 気道クリアランスは、以下の機序で働く
- 異物の刺激により気道粘液が増加する
- 異物を取り込み、痰を作り出す
- 繊毛運動により末梢気道から中枢気道(口側)へ、痰を輸送する
- 咳嗽や嚥下などにより、痰を気道の外へ喀出する
- 気道粘液は痰の本体である
- 正常の場合、痰は一日約100ml産生・排出されている
- 通常の場合、唾液と共に嚥下されたり、蒸発・吸収されている場合が多く、痰として喀出されることははほとんどない
気道クリアランスは、呼吸器疾患、人工呼吸管理、体動困難、乾燥、喫煙などの影響により、容易に障害を受けやすい
痰の性状
粘液性痰
- 色:透明~白色
- 原因:気管支粘膜腺の過形成によって生じる
- 原因疾患:喘息、感染を伴わない慢性気管支炎など
膿性痰
- 色:白黄色~淡黄色、緑色、錆色
- 原因:肺や気道の細菌感染によって生じる
- 原因疾患:肺炎、気管支炎など
漿液性痰
- 色:透明~白色
- 原因:気管支や肺の毛細血管の透過性亢進
- 原因疾患:肺胞上皮がんなど
肺水腫の場合、ピンクの泡沫状の痰が見られる場合がある
血性痰
- 色:暗赤色、茶色、血線入色
- 原因:肺や気道におよんだ組織破壊性の病変により、気道に血液が入り込むことで生じる
- 原因疾患:肺がんや気管支拡張症など
痰の色が特に濃い緑色を呈しているときは、緑膿菌、インフルエンザ桿菌が疑われる
嫌気性菌(肺化膿症など)が原因で起こる感染症の場合、独特の臭気を伴う場合がある
血性痰は、必ずしも呼吸器系からの出血により出来るとは限らない
上気道(口腔・鼻腔)や、消化器系からの出血が、嘔吐とともに喀出される場合もあるため、注意深い観察が必要
痰貯留による影響
- 喀出困難な量の痰や粘調度の高い痰の場合、息切れや呼吸困難などの症状が出現しやすい
- 痰の貯留が著明になると、窒息、肺炎、無気肺、ガス交換障害、気道抵抗の上昇など様々な合併症を起こすリスクが高くなる
- 気道クリアランスの機能が、十分に働くようサポートをする必要がある
- 痰の量や性状、色調を継時的に観察することは、呼吸器系(肺や気管支など)の状態を把握するために有効である
アセスメント
- 気道クリアランスの機能が十分に働いているか
- 痰の量や性状に変化はないか
- 痰の喀出が困難になっていないか
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