痰に関する基礎知識 2 排痰のメカニズム
痰に関する基礎知識 2 排痰のメカニズム【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月15日
最終更新日:2018年09月25日
(変更日:2018年10月31日) ※
目的
- 排痰のメカニズムについて理解を深め、適切なケアを行う
重力による痰の移動
- 痰には自動運動の能力がないため、重力の影響を受けやすい
- 一般的には、自力で立位・坐位・歩行などが出来る場合、痰は動作に従って重力の影響を受けるため、様々な方向に移動してる
- 臥床傾向にある患者の場合、身体にかかる重力の方向が変わらない時間が長くなり、痰の移動頻度は減少する
→ 結果的に、末梢気道において痰が貯留しやすくなる
→ 痰の貯留による肺炎などの感染症のリスクが高くなる
体位変換や早期離床により、身体を動かすことが、痰の貯留防止につながる
排痰のポイント
- 自力排痰に必要な要件は気道クリアランス以外に、それをサポートする「重力」「粘性」「空気の量と速度」が必要である
重力
- 重力の利用により、痰を移動させる
- 具体的な援助:体位ドレナージ、早期離床などを適宜行う
粘性
- 適切な粘性を保つことで、痰をスムーズに移動させる
- 具体的な援助:湿度管理、体液量の維持、去痰剤の使用、呼吸療法時の適切な加湿などを適宜行う
空気の量と速度
- 速度と量を持った空気(咳嗽)により、痰を気道外に排出させる
- 具体的な援助:咳嗽抑制リスク(疼痛など)の除去、呼吸筋・腹筋の強化を適宜行う
粘性を調整する
- 痰の90%以上は水分からできているため、痰の粘性や硬さに、身体内の水分量が大きく影響する
- 気道が乾燥している場合、痰に含まれる水分は減少する
- 水分量が低下すると、痰は粘性を増し、気道に停滞しやすくなる
- さらに繊毛運動が阻害され、痰の移動が困難となる
水分量が減少した状態の痰は再び柔らかくすることが難しくなるため、効果的な排痰を促すには、痰に適度な水分を維持することが必要となる
痰の水分を調整するためのポイント
- 湿度管理:加湿器などを使用し、病棟・病室内の湿度を50%以上に保つ
- 体液管理:痰の水分量は、全身の水分量のバランスに影響を受けるため、水分出納バランスをしっかり管理する
- 去痰剤の使用:必要時は、薬剤を使用して痰の粘度を調整する
- 呼吸療法時の適切な加湿:酸素投与や気管切開などを使用する場合は必須
アセスメント
- 排痰の3つのポイント(重力・粘性・空気の量と速度)を適切に評価したか
- 状況に応じて、適切な看護援助を行っているか
- 気道の温度や湿度管理が適切であるか、または呼吸理学療法の併用についても検討を行う
- 正確に評価をするために、分泌物の性状や量を観察しているか
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
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