気管吸引の基礎知識

気管吸引の基礎知識【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月17日
最終更新日:2018年06月10日
(変更日:2015年6月12日) ※

目的

  • 気管吸引の基礎知識について理解を深め、適切なケアを行う

気管吸引カテーテル選択のポイント

  • 吸引カテーテルの外周はFr、外径はmmで表される
  • 吸引管との接続口(アダプター)の色は、サイズごとに決まっている
    • 例:14Frの吸引カテーテルは、アダプターが緑、外径が4.67mm
留置されている気管切開カニューレや気管チューブの内側の直径(内径)を基準とし、吸引カテーテルの外側の直径(外径)は、その1/2以下になるように選択する

気管吸引カテーテルの挿入目安

挿入する部位から気管分岐部までの解剖学的構造を理解すること
  • カテーテルを必要以上に挿入することは、苦痛の増強や粘膜損傷を引き起こす要因となる
    • 挿管チューブあるいは気管切開チューブのサイズを確認し、あらかじめ吸引チューブの挿入の目安を決めておく

鼻腔挿管中におけるカテーテル挿入の長さの目安

  • 男性:24~28cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm
  • 女性:23~27cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm

経口挿管におけるカテーテル挿入の長さの目安

  • 男性:21~23cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm
  • 女性:20~22cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm

気管切開におけるカテーテル挿入の長さの目安

  • 12~15cm
吸引カテーテルに目盛りがない場合:気管分岐部に先端があたる部分まで慎重に挿入し、そこから1cm程度、抜いた位置を目安とする

気管吸引により考えられる合併症

気管支への影響

気管支粘膜の損傷

  • 原因
    • 吸引カテーテルによる気道粘膜の刺激
    • 咳嗽や体動、気管チューブの不適切な固定による気管チューブの気管壁との接触
  • 予防
    • 吸引圧を適切な圧にする
    • 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
    • 気管吸引を行っている間は、吸引圧の変化に注意する
      • 吸引カテーテルが気管粘膜に接触すると、吸引圧が上昇する
      • この場合は、すぐに吸引圧を解除する

気管支攣縮

  • 原因
    • 吸引による機械的刺激が、気道平滑筋の収縮を誘発する
  • 予防
    • 愛護的な吸引を行う
    • 吸引圧を適切な圧にする
    • 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする

交感神経・副交感神経への影響

不整脈

  • 原因
    • 交換神経系の刺激による頻脈
    • 副交感神経の刺激による徐脈(迷走神経反射)
    • 吸引によって生じる低酸素血症
致死的不整脈により心停止を起こす場合もあるため、注意が必要
  • 予防
    • 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
    • 吸引時間は最低限とする

血圧変動

  • 原因
    • 交換神経系の刺激による血圧上昇
    • 副交感神経の刺激による徐脈(迷走神経反射)
  • 予防
    • 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
    • 吸引時間は最低限とする

頭蓋内圧亢進

  • 原因
    • 交換神経系の刺激による脳の血流量が増加
    • 脳血管の自動調節能を超えると、頭蓋内圧が上昇する
  • 予防
    • 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
    • 吸引時間は最低限とする

換気能への影響

低酸素血症

  • 原因
    • 強度の咳嗽、気管支攣縮による換気不良
  • 予防
    • 吸引時間は最低限とする

無気肺

  • 原因
    • 気道内圧の低下による肺胞の虚脱
  • 予防
    • 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
    • 吸引時間は最低限とする

気道感染

  • 原因
    • 不衛生な手技などによる感染
    • 医療従事者を介して他の患者に感染する可能性もある
  • 予防
    • 無菌操作で吸引を行う
    • 手洗い、消毒を徹底し、標準予防策を実施する
合併症を防止するには、適切な吸引圧、短い吸引時間、愛護的な操作が必要
吸引中に異常が認められた場合、速やかに吸引を中止し、原因を検索する
不整脈や低酸素血症が疑われたら、すぐに医師に報告する
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