吸引の実際 1 口腔内の吸引
吸引の実際 1 口腔内の吸引【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月17日
最終更新日:2018年05月26日
(変更日:2015年6月17日) ※
目的
必要物品・準備
- 個人防護具(マスク、ゴーグル、エプロン、未滅菌手袋)
- 吸引セット(吸引器、吸引瓶、吸引管)
- 吸引用カテーテル(成人の場合、12~14Fr)
- 水道水(通水用)
- 聴診器
- パルスオキシメーター
方法
- 患者に吸引を行う必要性を説明する
- 吸引中、患者は発声困難となる
- 苦痛を感じた時に吸引を中断する合図を事前に決めておくと良い
- 衛生学的手洗い(手指消毒)を行う
- 個人防護具を身に着ける(感染予防目的)
- 吸引器のスイッチを入れ、吸引圧を設定する
- 一般的に、成人の吸引圧は100~150mmHg
- 吸引管を指で塞ぎ、吸引圧がかかることを確認する
- 吸引カテーテルの外装を開き、接続部を露出する
- 吸引圧がかからないよう、吸引圧調節口を開放したまま、吸引管と吸引カテーテルを接続する
- この時点ではまだ、吸引カテーテルは袋に入れたままにする
- 吸引圧をかけないようにして、吸引カテーテルを口腔内に挿入する
- 吸引圧調節口が無い場合は、吸引カテーテルを根元で折る
- 吸引テーテルを回転させながら引き抜き、短時間で吸引する
- 観察を行う
- 吸引カテーテルを通水させて吸引管の汚れを流す
- 分泌物の粘稠度が高い場合は、数回繰り返して汚れを流す
- 吸引カテーテルの先端を手に取り、手の中にまとめた状態で、吸引管から外す
- 手袋内に吸引カテーテルが収まるよう、手袋を裏返すようにはずす
- 使用した吸引カテーテルは、感染性廃棄物として廃棄する
- 吸引器のスイッチを切り、吸引管を所定の位置に戻す
- 個人防護具を外し、廃棄してから衛生的手洗い(手指消毒)を行う
- 患者の体位を整え、呼吸状態を再度確認する
- 問題なければ終了した旨を伝える
吸引カテーテルを挿入し過ぎると、苦痛を増強させるだけでなく、粘膜損傷を引き起こす要因となるため、予め挿入長さの目安を決めておく
鼻腔吸引の挿入長の目安:10~13cm
アセスメント
- 吸引前、吸引後に、適切なアセスメントを行う
- 痰の性状や量、呼吸状態の変化の有無など、観察したことを記録として残す
吸引前
- 吸引の適応であるか
- 患者の状態:自力で痰の喀出ができない
- 患者の訴え:吸引の希望がある
視診
- 痰や唾液の口腔内への貯留、湿性嗄声、浅速呼吸、呼吸数増加などがあるか
聴診
- 頚部の副雑音、経皮的酸素飽和度(SpO2)の低下があるか
口腔吸引で吸引可能なのは、口腔あるいは咽頭に貯留した痰に限られるため、体位ドレナージなどの排痰援助を適宜行い、咽頭まで痰を誘導し、吸引することも状況に応じて必要である
咽頭反射によって嘔気が誘発されやすいときは、誤嚥を防止するためセミファウラー位や側臥位で顔を横に向けるなどの工夫をする
嘔吐のリスクが高い時間帯(食後など)の吸引は避けるなど、施行時間帯についても考慮する
吸引後
- 呼吸状態、循環動態に異常はないか
- 痰の性状と量、呼吸パターン、呼吸回数、SpO2、モニターの変化など
- 無呼吸になっていないか
注意点
- 吸引圧のかけすぎ、吸引中の吸引カテーテルの出し入れは、気道粘膜損傷の原因となる
- 吸引カテーテルは不潔にならないように包装から取り出す
- 再吸引の必要性について再度アセスメントを行う
- 再吸引は、呼吸や循環が十分に回復したことを確認してから行う
- 通水後の水は不潔であるため、カテーテルの再利用は避ける
- こまめに通水用の水を交換するなど、水の管理も徹底する
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