目的
- 気管内吸引による感染について理解を深めることで、適切なケアにつなげる
気管内吸引と肺炎
気管内吸引に関連する肺炎
- 原因:水、カテーテルなどの使用や、汚染された手指などに付着した微生物が、下気道まで侵入し、肺炎を発症することがある
- 予防策:気管内の汚染を予防する
- 標準予防策(スタンダードプリコーション)
- 吸引カテーテルなどの衛生管理(滅菌操作を遵守)
手指消毒の重要性
- 気管内吸引を行う前には、必ず手洗いや手指消毒を行う
- 手に明らかな汚れが認められる場合
- 非抗菌性石けんと流水、または抗菌性石けんと流水で手洗いを行う
- 明らかな汚れが認められない場合
- 速乾性手指消毒薬(アルコール消毒薬など)を使用する
- 手指衛生終了後に手袋を装着し、気管内吸引を行う
- 口腔内、鼻腔内は未滅菌で良いが、気管内吸引時は滅菌手袋や滅菌鑷子を使うなど、無菌操作が必要
- 気管内吸引操作が終了し、手袋を外した後にも手洗いや手指消毒を行う
- 気管内吸引を施行しているときに、分泌物が飛散するリスクがある場合、ガウンやマスク、ゴーグルなどの着用も必要
気管内吸引で使用する水
- 非滅菌の精製水や水道水には微生物が含まれていることがあり、肺炎を引き起こす可能性がある
- 気管内吸引カテーテルは単回使用が原則だが、複数回使用時に洗浄する時は、滅菌精製水を使用する
気管内吸引カテーテルの種類
- 閉鎖式と開放式の気管内吸引カテーテルがある
- 閉鎖式吸引:気管内吸引カテーテル、気管切開カニューレと人工呼吸器装置がそれぞれ連結しているため、回路を開放することなく吸引することが可能である
- 開放式吸引:人工呼吸器や気管切開カニューレの回路を、吸引時に開放する
気管内カテーテルの消毒
- CDCの「医療ケア関連肺炎防止のためのガイドライン」は、開放式気管内吸引カテーテルに関し、滅菌済みカテーテルの単回使用を勧告している
- 気道粘膜と接触する気管内吸引カテーテルは、滅菌物の単回使用か、高水準消毒を行う
- 高水準消毒薬:カテーテルの材質上や構造上の問題で、消毒薬が十分に洗い流されない場合、毒性が人体に影響をおよぼす危険性があるため注意する
- 滅菌の場合はカテーテルの材質に影響をおよぼす可能性があり、頻回に吸引が必要な場合は、滅菌時間を十分に確保することが困難となる