気管内吸引による感染とは
気管内吸引による感染とは【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月17日
最終更新日:2018年09月25日
(変更日:2018年10月23日) ※
目的
- 気管内吸引による感染について理解を深めることで、適切なケアにつなげる
気管内吸引と肺炎
気管内吸引に関連する肺炎
- 原因:水、カテーテルなどの使用や、汚染された手指などに付着した微生物が、下気道まで侵入し、肺炎を発症することがある
- 予防策:気管内の汚染を予防する
- 標準予防策(スタンダードプリコーション)
- 吸引カテーテルなどの衛生管理(滅菌操作を遵守)
手指消毒の重要性
- 気管内吸引を行う前には、必ず手洗いや手指消毒を行う
- 手に明らかな汚れが認められる場合
- 非抗菌性石けんと流水、または抗菌性石けんと流水で手洗いを行う
- 明らかな汚れが認められない場合
- 速乾性手指消毒薬(アルコール消毒薬など)を使用する
- 手指衛生終了後に手袋を装着し、気管内吸引を行う
- 口腔内、鼻腔内は未滅菌で良いが、気管内吸引時は滅菌手袋や滅菌鑷子を使うなど、無菌操作が必要
- 気管内吸引操作が終了し、手袋を外した後にも手洗いや手指消毒を行う
- 気管内吸引を施行しているときに、分泌物が飛散するリスクがある場合、ガウンやマスク、ゴーグルなどの着用も必要
気管内吸引で使用する水
- 非滅菌の精製水や水道水には微生物が含まれていることがあり、肺炎を引き起こす可能性がある
- 気管内吸引カテーテルは単回使用が原則だが、複数回使用時に洗浄する時は、滅菌精製水を使用する
気管内吸引カテーテルの種類
- 閉鎖式と開放式の気管内吸引カテーテルがある
- 閉鎖式吸引:気管内吸引カテーテル、気管切開カニューレと人工呼吸器装置がそれぞれ連結しているため、回路を開放することなく吸引することが可能である
- 開放式吸引:人工呼吸器や気管切開カニューレの回路を、吸引時に開放する
回路を開放して行う開放式吸引では微生物で気管内を汚染される可能性が高いため、無菌操作を徹底する
気管内カテーテルの消毒
- CDCの「医療ケア関連肺炎防止のためのガイドライン」は、開放式気管内吸引カテーテルに関し、滅菌済みカテーテルの単回使用を勧告している
在宅医療などにおいて、同一患者に吸引操作を頻回に行う場合、繰り返し使用することがあるが、使用の度に洗浄と消毒を行うこと
- 気道粘膜と接触する気管内吸引カテーテルは、滅菌物の単回使用か、高水準消毒を行う
- 高水準消毒薬:カテーテルの材質上や構造上の問題で、消毒薬が十分に洗い流されない場合、毒性が人体に影響をおよぼす危険性があるため注意する
- 滅菌の場合はカテーテルの材質に影響をおよぼす可能性があり、頻回に吸引が必要な場合は、滅菌時間を十分に確保することが困難となる
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関しては本記載内容とは対応が異なりますので、必ず各病院ごとに作成されている感染症ガイドラインに従ってください。
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