緩和ケアの実際 1 疼痛コントロール
緩和ケアの実際 1 疼痛コントロール【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月26日
最終更新日:2018年11月05日
(変更日:2019年9月17日) ※
目的
- 緩和ケアにおける疼痛コントロールについて理解を深め、適切なケアを行う
がんで疼痛が起こる理由
がんの進行に伴う痛み
- 内臓器官へのがん浸潤
- がん組織による血管閉塞や末梢神経浸潤
- 骨転移・脳内転移
- 白血病や凝固異常による全身への出血
がんの治療に関連した痛み
- 手術創部や手術に関連した神経損傷
- 放射線治療後の副作用
- 化学療法によって生じるニューロパチー
全身衰弱に伴う痛み
がんと無関係な痛み
疼痛の閾値を下げる因子
- 「痛みの閾値を下げる」因子とは、痛みを感じやすくさせる因子のこと
- 疲労、不眠、倦怠
- 恐怖や不安
- 不快感
- 怒り、悲しみ
- 抑うつ、孤独感
- 社会的地位の喪失
疼痛の閾値を上げる因子
- 「痛みの閾値を上げる」因子とは、痛みを感じにくくさせる因子のこと
- 鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬などの薬剤
- 痛み以外の症状や緊張緩和
- 不安の除去
- 十分な睡眠
- 痛みに対する理解
- 創造的な活動
- 人とのふれあい
- 気分の高揚
観察項目
傾聴と把握
- 患者の訴えに十分に耳を傾け、痛みの程度や、その時の気持ち、経過などを把握する
- いつから痛むのか
- どれくらい痛むのか(体動をしない状態でも痛むのか、眠れないほどの痛みか)
- 痛みの性質:「痛みが走る」「鈍痛」「焼けるような」「刺すような」など
ケア項目
適切な薬剤の選択
- アセトアミノフェン、NSAIDsなどの非オピオイド系薬剤使用後は適切な評価を行う
- 十分な効果が認められない場合は、強オピオイド、抗うつ薬、ステロイド薬、抗痙攣薬などの鎮痛補助剤を、状態に合わせて使用する
- 体動時に痛みが増強する場合は、体動を行う前に鎮痛薬を投与し、評価する
- 保清時や食事時の痛みの程度を確認し、適宜鎮痛剤を使用する
強オピオイドの使用時は排便状態の観察を十分に行い、2~3日間排便が見られなければ便処置を行う
睡眠の援助
精神的苦痛の緩和
- コミュニケーションを図ることで、精神的な苦痛の緩和を図る
- マッサージなどを行い安心感を与える
鎮痛剤の変更
- 痛みが強く、内服が困難な場合
- CSI(持続皮下注射)で注射薬を投与し、早急に疼痛緩和を図る
- 悪心・眠気・便秘などの重篤な副作用が見られた場合は、オピオイドを変更する
アセスメント
- 患者が感じている疼痛の原因は、ケアで取り除くことが可能であるか
- 痛みの原因を、身体的苦痛だけでなく「精神的疼痛」「社会的疼痛」「スピリチュアルペイン」などの側面から捉えられているか
- 痛みの評価は適切に行われているか
- ケア実施後に疼痛は改善したか
- 疼痛緩和のアプローチにより、QOLは向上しているか
どの病期においてもがん性痛は起こりうるが、末期がん患者の約7割は主症状として痛みの自覚がある
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