呼吸リハビリテーションの実践 2 運動療法メニュー例
呼吸リハビリテーションの実践 2 運動療法メニュー例【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月29日
最終更新日:2018年04月23日
(変更日:2015年6月23日) ※
目的
- 運動療法メニューについて理解を深め、適切なケアを行う
概要
- 呼吸リハビリテーションに関連する運動療法は、以下の3つの構成要素からなる
- コンディショニング
- ADLトレーニング
- 全身持久力・筋力トレーニング
病期に対する比重と主な方法
- 運動療法プログラムの検討では、患者の呼吸機能、ADL、運動耐容能を含めた重症度などを総合的に判断することが必要である
- 軽症であるほど、持久力・筋力トレーニングの比重を大きくし、状況を見ながら負担を徐々に増やす
- ADLトレーニングでは応用的な動作を適宜加えていく
- 重症の場合は、基礎的なADLトレーニングやコンディショニングの比重を大きくする
安定期
- 軽症
- コンディショニングからスタートし、同程度のADLトレーニングを行う
- その後、全身持久力・筋力トレーニングを中心に行う
- 中等度
- コンディショニングからスタートし、同程度のADLトレーニングを行う
- その後に全身持久力・筋力トレーニングを行うが、軽症の場合と比較し、全身持久力・筋力トレーニングの割合が少なくなるように調整する
- 重症
- 呼吸パターンの修正などを中心としたコンディショニングと、基本的なADLトレーニングを行う
- その後に低負荷な全身持久力・筋力トレーニングを行う
重症度があがるほど、コンディショニング+ADLトレーニングの比重を多くする
急性期・回復期
- 軽症
- コンディショニングを十分に行うことからスタートする
- その後、ADLトレーニングと、低負荷な全身持久力・筋力トレーニングを組み合わせて行う
- 重症
- コンディショニングに重点を置いてスタートする
- その後、状況を見て、ADLトレーニングと低負荷な全身持久力・筋力トレーニングを行う
人工呼吸器での管理が必要な重症例の場合、呼吸練習や排痰支援、ベッド上での四肢自動・他動運動などのコンディショニングから行う
早期離床に向け、状況に応じて起居や移乗動作なども検討する
術後回復期
- 軽症
- コンディショニングとADLトレーニングからスタートする
- その後に全身持久力・筋力トレーニングを行うが、軽症であるほどその比重を高くする
- 重症
- ADLトレーニング<全身持久力・筋力トレーニング<コンディショニング
対象となるのは、喉頭頭部、胸部、腹部の術後患者
- 軽症であるほど、離床を積極的に進める
- 重症例の場合、排痰や深呼吸の練習などのコンディショニングから開始する
- その後のプログラムは、疼痛の有無や強さ、体位制限に合わせて構成する
コンディショニング
- リラクセーション
- 呼吸介助
- 呼吸介助法(介助者の手で患者の胸を押して、呼吸を助ける方法)
- 呼吸訓練
- 排痰法
- 排痰手技(スクイージング、呼吸介助など)
- 体位変換法
- 胸郭可動域訓練
- 徒手胸郭伸長法(胸郭の捻転、胸郭の側屈、シルベスター法など)
- 肋間筋のストレッチ
全身持久力・筋力トレーニングの前段階としてコンディショニングは身体づくりの基本的なメニューであり、多くの理学療法が含まれている
ADLトレーニング
- 基本的な動作能力の訓練
- 起居動作:ベッドでの起き上がり、座位、立ち上がりなど
- 移動操作:歩行、階段昇降など
ADLの工夫、環境改善なども必要となる
全身持久力・筋力トレーニング
- 負荷が低いものから順に
- 平地(廊下など)歩行
- 階段昇降
- エルゴメーター、トレッドミル
- 弾性バンドやダンベルを用いた筋力トレーニング
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