目次
目的
- 運動療法の評価について理解を深め、適切なケアを行う
運動療法に対する評価項目
必須となる評価
- フィジカルアセスメント
- 呼吸困難(安静時・労作時)
- SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)
- 胸部単純X線写真
- スパイロメトリー
- 心電図
- 握力
- フィールド歩行訓練(シャトルウォーキング試験、6分間歩行試験)
行うべき評価
- ADLやADLにおけるSpO2モニタリング
- BMIなどの栄養評価
- 健康関連QOL(一般的、疾患特異的)
- 上下肢の筋力
可能であれば行う評価
- 動脈血液ガス分析
- 心肺運動負荷試験
- 心エコー検査
- 身体活動量
- 心理社会的評価
- 呼吸筋力
負荷を決めるための指標
心拍数
- 最大心拍数(HRmax)法
- 年齢別最大心拍数(220-年齢)×60~80%
- 予備心拍数(HRR)法(カルポネン<Karvonen>法)
- (年齢別最大心拍数<220-年齢>-安静時脈拍)×40~80%+安静時脈拍
6分間歩行試験
- 歩行距離から求めた歩行速度×40~80%
呼吸困難
- ボルグCR-10スケール3~4(SpO2の評価を要する)
ISWT(漸増シャトルウォーキング試験)
- VO2peak(ml/kg/分)=4.19+0.025×ISWTでの歩行距離(m)
上記で求めたVO2peak×40~80%
一般的な運動療法の中止基準
呼吸困難
- ボルグCR-10スケール7~9(とても強い~非常に強い、をあらわす)
呼吸数
- 30回/分以上
酸素飽和度
- 90%未満
心拍数
- 不変あるいは減少したとき
- 年齢別最大心拍数(220-年齢)の85%に達したとき
血圧
- 拡張期血圧の上昇、あるいは収縮期血圧が大幅に下降したとき
その他の自覚症状
- 動悸、めまい、ふらつき、胸痛、疲労、チアノーゼなど
ボルグCR-10スケール
- 0 :感じない
- 0.5:非常に弱い
- 1 :やや弱い
- 2~3:弱い
- 4 :多少強い
- 5~6:強い
- 7~9:とても強い
- 10 :非常に強い
負荷による違い
低負荷
- 定義:患者のVO2peakに対して、40~60%の負荷をかける
- 適応:後期高齢者、高度な呼吸困難症例、肺性心合併例など
- 利点:低リスク、在宅で継続しやすい、アドヒアランスが維持されやすい、不安や抑うつの改善効果が大きいなど
- 欠点:運動効果が発現するまで長い期間が必要、運動能力の大きな改善は望めない
高負荷
- 定義:患者のVO2peakに対して、60~80%の負荷をかける
- 適応:運動時SpO2が90%以上、重度不整脈、肺性心、器質性心疾患などがない、モチベーションが高いなど
- 利点:同一運動の刺激に対して運動能力が大幅に改善する、生物学的効果が高い
- 欠点:ハイリスク、監視や付添いが必要、患者のアドヒアランスが低下しやすい