目次
目的
- 急性期のCOPD患者の看護について理解を深め、適切なケアを行う
急性看護のポイント
- 急性増悪となる原因は不明であることが多いが、脱水、心不全、呼吸筋疲労、不適切な酸素投与、感染などが誘因になる場合がある
- 急性期の場合、呼吸困難や喘鳴、チアノーゼ、喀痰の喀出困難などの症状が急激に出始め、悪化するため、緻密な観察を行い早急な対応が必要不可欠である
- CO2ナルコーシスの状態となった場合、人工呼吸器での管理が必要となる場合があるため、意識レベルの低下の有無や呼吸状態の観察を十分に行う
ケアのポイント
気道の清浄化
- 痰が喀出しやすいよう、粘稠度を低下させる目的で水分補給の促しや水分補給などを行う
- 視診や聴診などからくるアセスメントにより、気道内にある痰などの位置や性状・量などを確認した後、スクイージングや体位ドレナージ、吸引などを行う
酸素療法
- 酸素療法を確実に行い、指示範囲内のSpO2値が維持できているか観察を行う
- CO2ナルコーシスが起こらないよう、医師の指示に基づいた酸素流量を遵守する
NPPV
- NPPVの最大限の効果を上げるため、マスク装着時の不快感、換気状態やエアリーク量の観察を行い、適切なマスクのフィッティング、スキンケアを行う
- 換気状態やNPPVとの同調性、呼吸状態などの観察を十分に行い、必要時は適切な設定調整を医師に依頼する
栄養管理
- 高カロリー食の摂取
- 食事の形態を患者の食べやすいもの(柔らかいものや口当たりのよいもの)にできるよう栄養士と相談しながら調整する
- 食事摂取量が少ない場合は、栄養補助食品の導入も考慮する
- 十分な栄養が摂れない場合は、輸液療法を検討する
薬物治療
- 処方された去痰剤や気管支拡張剤を確実に内服できたか確認を行い、薬剤の効果についてもアセスメントする
呼吸苦の緩和
体位の工夫
- 起坐位やファウラー位など患者にとって安楽な姿勢を保つ
- 換気血流比不均等を考慮した体位(健側の肺を下にするなど)をとる
呼吸法
- 口をすぼめてゆっくりと息を吐き出す口すぼめ呼吸を行ってもらう
心負荷の軽減
- 脈拍数・呼吸数の増加や息切れ、呼吸苦などの自覚症状を観察しながら援助を行う
- 水分出納バランスに十分注意し、必要時は水分制限を行う
- 観察項目:経口水分量、輸液量、尿量、不感蒸泄
- 便秘傾向にある場合は、定期的に便処置を行う
精神的ケア
- 不安や恐怖に対する言動に耳を傾け、共感的態度で接する
- 不安感が強い場合は、そばでしばらく付き添うだけでも一定の効果がある
- 必要な治療・ケアを納得して受けることができるよう、患者指導も行う
患者指導のポイント
- NPPV装着の際は、十分な理解と協力が必要なため、目的や効果などについて患者に説明を行う
- 口すぼめ呼吸の必要性と方法を説明し、意識して行うように促す
- 食欲がない場合には、栄養補助食品の摂取などを促す
- 呼吸数の増加や脈拍数の増加など、患者に起こっている状態を客観的に伝える
- 現状の理解と心負荷のかかる動作は避けるよう促す
- 排便困難な場合は、強い努責を避けるよう説明する
- ケアや処置をする際は十分な説明を行う
- 水分制限を行う場合は、必要性について十分な説明を促す
- 安静保持の必要性について理解が得られるような説明を行う
- 病状や治療に対し、十分な情報を与え、理解を促す
アセスメント
- 小さな変化も逃さずに観察・ケアができているか
- 患者や家族の理解・協力が十分に得られるような説明、指導を行っているか
- 他職種との連携がスムーズに取れているか
- 患者や家族の精神的ケアは十分に行えているか
- 適切なアセスメントを行い、医師に報告することで、治療やケアの見直しが行えているか