COPD患者の看護 5 患者指導
COPD患者の看護 5 患者指導【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年8月7日
最終更新日:2018年04月23日
(変更日:2015年8月9日) ※
目的
- COPD患者の指導について理解を深め、適切なケアを行う
急性期の患者指導
呼吸困難についての指導
- 口すぼめ呼吸の方法について説明する
- 呼吸困難を緩和する体位や体動方法について指導する
内服指導
- 症状緩和のためには確実な内服が必要であることを説明する
栄養指導
- 水分制限がある場合、その必要性について説明する
- 栄養状態の低下により、栄養補助食品や輸液が必要となる場合があることを説明する
安静に関する指導
- 安静保持の必要性について説明する
- 体動による客観的データ(心拍数、呼吸数、SpO2の推移)のモニタリング結果を患者と共に確認し、評価を行う
感染予防に関する指導
- 手洗い・含嗽・口腔ケアの励行について必要性を説明する
HOTやNPPVに関する指導
慢性期の患者指導
呼吸困難についての指導
- 口すぼめ呼吸・自己排痰が確実にできているか確認する
- 息切れが増強する可能性のある動作について説明し、具体的にどのような動作をとるとよいのかを共に考え、工夫する
- パニックコントロールの方法について説明し、呼吸を楽にする姿勢を体感しながら、体得してもらう
- 患者と共に、実際のさまざまな動作による客観的データ(心拍数、呼吸数、SpO2の推移)を確認し、評価を行う
禁煙指導
- COPDに喫煙は禁止であることを説明し、禁煙が難しい場合は、禁煙外来を勧める
- 行動変容のステージ理論を生かしながら支援を行う
行動変容のステージとは:禁煙指導に対する患者の行動の変化を表したもの
無関心期:禁煙の意思はなし
関心期 :半年以内に禁煙する意思はあるが、1ヶ月以内ではない
準備期 :1ヶ月以内に禁煙を検討している
実行期 :禁煙開始後、6ヶ月未満
維持期 :禁煙後、6ヶ月以上経過
内服指導
- 安定期を長期間維持するためには、急性増悪が起こらないように注意をしていくことが大切であることを説明する
- 急性増悪時の起こり得る症状とその対応方法、予防方法や病院受診のタイミングについて説明する
- 吸入の手技は確実にできているか確認を行う
- 定期薬は自己判断で増減や中断をしないよう説明し、確実に内服するよう指導する
栄養指導
- 安静時エネルギー消費量は、予測よりも多い(120~140%必要)であることを説明する
- 高カロリー・高タンパク・高ビタミンでバランスのよい食事を摂ることの必要性を説明する
- 食欲がない場合など、十分な栄養補給のため、総合栄養剤を処方可能であることを説明する
- 食生活や嗜好に合わせ、少量でも高カロリー摂取ができる食品について説明する
- 定期的な体重測定の必要性について説明する
- 体重を増やすことよりも、まずは現在の体重を維持することを目標とずるよう説明する
- 適度な水分摂取により、便秘による努責が避けられることを説明する
運動に関する指導
- 筋力低下が起こると呼吸困難が起きやすくなり、適度な運動をしなくなることでさらに筋力が低下するため、適度な運動で体力を維持することの必要性を説明する
- 個別性に合わせたトレーニング方法をパンフレットなどを用いて説明する
感染予防に関する指導
- 急性増悪の要因として感染があり、繰り返すことで症状が進行することを説明する
- 含嗽や手洗いの励行がされているか確認する
- 口腔ケアは感染予防策として重要であることを伝え、口腔内の観察や、セルフケア方法を確認し、不十分なところがあれば指導する
HOTやNPPVに関する指導
- 患者や家族を含め、導入に関する知識・技術を理解度に合わせて段階を追って説明する
アセスメント
急性期
- 口すぼめ呼吸は確実に行えているか
- 安静臥床についての理解ができているか
- 内服薬の定期的な内服が行えているか
- 症状の増悪に対する患者や家族の精神的なケアを意識した説明・指導が行えているか
慢性期
- 患者は、不安や疑問を表出することができているか
- 日常生活を送る上での、さまざまな工夫について、情報が提供できているか
- 実際の実施状況や手技について確認し、理解度や習得の段階に応じた指導ができているか
- 患者のアドヒアランスを高めるような関わりを意識しているか
- 一方的に説明をするのではなく、患者の意欲や自尊心・自己効力感が高まるような関わりができているか
- 誤った知識を持っている場合は、一度受け止めた上で修正することができているか
- 退院後の自己管理に向けての準備が整っているか(知識・技術・態度の習得)
- 社会的資源の活用状況について確認し、必要な情報提供が行えているか
- 家族との信頼関係も良好に保つことができているか
- 必要時、他職種との連携を図ることができているか
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