目次
目的
- 認知症ケアの基本(残存能力の重視)について理解を深め、適切なケアを行う
今ある能力を引き出す意味
- 人はもともと、家庭や仕事などの社会生活において、何らかの役割をもって生きている
- ケアする側は生きがいを感じてもらい、認知症の進行を極力、防ぐためのケアをする必要がある
- 認知症の人自身が自分でできることは可能な限り自分で行ってもらうことで、今ある能力を引き出し、結果的にADLの向上、認知症の進行を防ぐことが可能となる
今ある能力の見つけ方
- その人にとって適切なリハビリテーションは、今ある能力が発見できるだけでなく、長期臥床を防ぐ効果が期待できる
- 喜びや楽しさなどの感情を通して創造性が豊かになり、能力が見つかりやすくなるため、楽しい気持ちでリハビリテーションに取り組むことができるよう工夫する
- 可能な限り、自発的に行動を行えるよう関わる
- 日常で過ごしている生活の場面(料理や洗濯など)を有効に活用する
- ゆったりとした関わり方で、さりげなくリハビリに必要な動作が行えるような声かけをする
やってはいけない対応
なにもしなくていい状態を作ってしまう
- ケアする側が、認知症の人に「何もしなくて大丈夫ですよ」「声をかけるまで静かにお待ちくださいね」などの言葉がけを日常的にしていると、何もすることがなくなり、認知症の進行を招く恐れがある
勝手な決めつけをする
- 「何もできない人」「この作業をできるわけがない」と能力を勝手に決めつけることで、「無能な状態」を創り出してしまいかねない
ケア側のペースで動く
- 効率性を重視するあまり、時間がかかるのを嫌がってケア側のスピードで動こうとすることで、結果的にできることもできない状態にしてしまう
何でもできるはずと思いこんでしまう
- 「甘えているだけ」と思ったり、認知症の人の状態・状況を把握せず、その時できないことを強要することで精神状態に混乱を招き、やる気を失わせる
今ある能力を発揮できる環境づくり
- 自力歩行ができる状態であるにもかかわらず、危険防止などの目的で車いすの使用や杖を強要することで、本来、持っている認知症の人の能力を発揮できない環境がつくられる
- 便利な環境だけを考慮するのではなく、認知症の人が持っている力が最大限に発揮できるような環境作りに努める
アセスメント
- 先入観を捨て、慎重にその人が持っている能力を見極められているか
- 本人の自主性を尊重し、手を出さずに見守ることができているか
- 認知症の人が持っている能力を見つけて承認し、やる気を出せるような声かけを行っているか
- 能力を発揮しやすい環境は整えられているか
- 身体を動かしやすい空間づくり
- ケアする側のサポート体制
- 手すりや段差の有無の確認と安全への配慮