目次
目的
- 認知症ケアの実際(生活環境)について理解を深め、適切なケアを行う
”生活環境におけるケア”が必要となる理由
- これまでの医療施設は主に「病気を治療する場」に重きが置かれてきた
- しかし近年、施設は疾患を持ちながらも「生活をする場」となりつつある
- 生活環境を整えることの重要性が見直されている
- 認知症の人を受け入れる施設などでは、本人たちがこれまで暮らしてきた環境や、個人の好みを大切にした環境を整えるケアが重要である
- 環境の変化にともない、症状が悪化する場合もある
- 楽しみや生きがい、安全性を考慮した環境づくりに配慮する必要性がある
ケアのポイント
居心地の良い空間づくり
- 個人の生き方、嗜好、趣味に合った部屋づくりを意識する
- ほかの利用者とともに過ごせる場を設ける
- 少人数で語らいができる場を提供する
- プライベートな時間を楽しめる空間をつくる など
これまでの生活環境に合わせた道具を使用する
- これまで慣れ親しんでいた布団やイス、食器などを使う
- 電子機器類など、なじみが薄いものはできるだけ取り入れないようにする など
「現在」が認識できるような関わりを行う
- 日めくりカレンダーを置き、その日の月日を伝える
- 訪室時などに時間を伝える
- 春夏秋冬がわかるような季節柄のものを置く
- 季節に合った花や写真を飾る など
機能性・安全性などを重視した環境整備
- 環境を複雑な構造にせず、本人が動きやすい形へと整える
- 段差のあるところは注意を促し、必要時は見守り歩行をする
- 歩きやすいよう手すりを設置する
アセスメント
- 治療ではなく、生活重視の視点で環境が整えられているか
- 環境の変化に対する不安や、ストレスによる症状が出現していないか
- ケアする側にとっては慣れたものでも、利用者にとって不慣れなものはないか(ウォシュレットなど)
- 仲間同士で集まる際、人間関係を考慮した配置や、グループにすることを考慮できているか
- 喜び、安心、楽しさなど、陽の感情を満たす要素が、十分に反映されているか
- 日時や季節など「いま」が理解できるように工夫ができているか