認知症ケアの実際 8 睡眠
認知症ケアの実際 8 睡眠【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年10月1日
最終更新日:2015年10月1日
(変更日:2020年5月15日) ※
目的
- 認知症ケアの実際(睡眠)について理解を深め、適切なケアを行う
”睡眠におけるケア”が必要となる理由
- 質の良い睡眠は、健康維持や身体的・精神的疲労の回復など、多くの効果が期待できる
- 不十分な睡眠を取り続けていると、生活や体内リズムが乱れる
- 認知症の進行や廃用性症候群、不眠症や睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
- 睡眠のリズムを整えることが重要である
ケアのポイント
不眠の原因を探る
身体的状態の悪化
- さまざまな疾患や加齢により生じる不調や痛みなどの苦痛により、不眠になることがある
精神状態の悪化
慣れない生活環境への不適応
- なじみの住まいから施設への入所、あるいは他人(ヘルパー)の介入などにより、環境が変化していくことに適応できず、不眠症になる場合がある
- 十分に寝てもらうという名目で、無理強いなケアをしない
- 個々の生活リズムにできるだけ合わせた起床・就寝時間を把握し、設定する
日中、仮眠を取る場合は、20~40分を限度とする
認知症状の進行は、不眠が原因となることもある
睡眠薬の使用を最低限にする
- 内服する睡眠薬の種類によっては、残眠感がある薬剤もある
- 日中の傾眠やふらつき、頭呆感が出現する場合があるので、十分な観察を行う
個別性を尊重した関わりを行う
生活リズムや睡眠時間は個々によって違うので、普段の就寝・起床時間を把握することが必要である
- 夜間に十分な睡眠を確保できるよう、無理やり日中に起こすなどの強引な関わりは避ける
- 眠気が出はじめたら就寝し、早朝に覚醒して二度寝ができない状況の場合は、離床して朝の時間を有意義に使えるような関わりも必要
- 眠気がないのに「就寝時間だから」と無理に就寝してもらうことはやめる
寝つきは悪くなり、中途覚醒が増えるため
不眠・睡眠障害のケアや対応方法
- 体内時計をリセットする目的で、日光を浴びてもらう
- 日中の活動量を、運動やレクリエーションの参加などで増やす
介護者付き添いでの散歩や買い物なども活動としてはよい
- 就寝前に入浴し、体を温めることで体から熱が放散され、体温下降とともに、眠りやすい環境となる
アセスメント
- 不眠を生じる原因について理解できているか
- 睡眠を阻害する因子を取り除けているか(褥瘡の痛み、孤独感など)
- 質の良いケアが提供できるよう、環境を整える工夫ができているか
- 日中の活動性を増やすための活動プログラムが作られているか
- 可能なかぎり、本人の意向に沿った就寝・起床に配慮できているか
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実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
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