目次
目的
- 院内肺炎(HAP)について理解を深め、適切なケアを行う
院内肺炎(HAP)とは
- 入院後2日以上経った後に、新たに発症した肺炎である
- 患者が持っている基礎疾患の所見が影響し、肺炎所見を見つけることが困難であることが多い(特に高齢者)
- 耐性菌を保有している患者は、その他の病原体にも感染していることが多い(重複感染)
- 尿路感染に次いで2番目に頻度が高い院内肺炎は、院内感染の中でもっとも死亡率が高い
- 院内肺炎(HAP)のうち、人工呼吸器が装着されているものを人工呼吸器関連肺炎(VAP)という
院内肺炎の発生要因
- 患者の易感染性が背景にあり、内因性・外因性感染が引き金となって発症する
- 易感染性は基礎疾患によるものが多い
- 基礎疾患には、器質的呼吸器疾患、免疫不全、ステロイド長期投与などがある
内因性感染
- 誤嚥や菌交代現象などで、すでに患者が保有している微生物が原因で起こる
外因性感染
- 交差感染、エアロゾルの吸入などで、体外から侵入した微生物が原因で起こる
院内肺炎への対策
内因性感染
- 適切な抗菌薬の使用
- 経腸管栄養の使用
- 口腔ケアの励行 など
外因性感染
- 手指や機器の消毒・滅菌など
院内肺炎の重症度分類(成人院内肺炎治療ガイドラインより)
- 成人院内肺炎治療ガイドラインでは「生命予後予測因子」と「肺炎重症度規定因子」による重症度分類がある
生命予後予測因子
- 生命予後予測因子は次の5つ
- I(immunodeficiency【免疫不全】):悪性腫瘍または免疫不全状態
- R(Respiration【呼吸】):SpO2>90%を維持するためにFiO2>35%を要する
- O(Orientation【見当識】):意識レベルの低下
- A(Age【年齢】):男性70歳以上、女性75歳以上
- D(Dehydration【脱水】):乏尿または脱水
- 上記項目の該当が3項目以上:重症群(C群)
- 上記項目の該当が2項目以下の場合、下記の肺炎重症度規定因子に基づいて分類する
肺炎重症度規定因子
- 肺炎重症度規定因子は次の2つ
- CRP≧20mg/dl
- 胸部X線写真で陰影の広がりが一側肺の2/3以上
- 該当なし :軽症群(A群)
- 1個以上該当あり:中等症群(B群)
アセスメント
- 院内肺炎とは何かを理解しているか
- 院内肺炎に対し、適切な対策が行われているか
- 院内肺炎の重症度分類について理解できているか