肺炎の基礎 15 非定型肺炎1 非定型肺炎の分類

目的

• 非定型肺炎の分類について理解を深め、適切なケアを行う

非定型肺炎の定義と特徴

• 一般細菌（肺炎球菌など）以外の微生物によって生じる
• 原因微生物にはマイコプラズマ、クラミジアなどがある
• 緩やかに発症する
• 軽度の発熱が見られる
• 特徴として強度の乾性咳嗽がある
• 呼吸器以外の全身症状を伴いやすい

非定型肺炎の分類

マイコプラズマ肺炎

原因となる微生物

• マイコプラズマ・ニューモニエ

特徴的な症状・所見

• 発熱
• 激しくて長引く乾いた咳
• 溶血性貧血
• 脳炎
• 髄膜炎
• 上気道炎

疫学

• ヒトからヒトへ飛沫感染する
• 集団感染しやすい
• 高齢者の罹患は少ない
• 学童を含む若年者がかかりやすい

診断と治療

• 診断
  • 間接凝集反応
  • 補体結合反応

• 治療
  • マクロライド系
  • ニューキノロン系
  • テトラサイクリン系を使用する

レジオネラ肺炎

原因となる微生物

• レジオネラ属

特徴的な症状・所見

• 精神神経症状（傾眠・幻覚・昏睡など）が早期に出現
• 比較的徐脈

• 頭痛
• 咳嗽
• 全身倦怠感
• 筋肉痛
• 下痢

疫学

• 免疫が低下している人、健康な成人に多い
• 水系感染、塵埃感染を主とする

診断と治療

• 診断
  • 尿中抗原検査
  • BCTE-α培地での分離・培養
• 治療
  • テトラサイクリン系
  • マクロライド系
  • ニューキノロン系
  • リファンピシン

オウム病

原因となる微生物

• クラミドフィラ・シッタシ

特徴的な症状・所見

• 比較的徐脈
• DIC、髄膜炎、多臓器不全を合併し、重症化すると死にいたることもある
• 血行性に全身を循環する

疫学

• 塵埃感染（トリからヒトへ）
• 口移しで餌やりにより感染する
• 成人あるいは高齢者に多い

診断と治療

• 診断
  • 抗体価の測定（MIF法）
• 治療
  • テトラサイクリン系
  • ニューキノロン系
  • マクロライド系

肺炎クラミジア肺炎

原因となる微生物

• クラミドフィラ・ニューモニエ

特徴的な症状・所見

• 成人の場合、5～6割が感染しているが、ほとんどが無症状で経過
• 小児の場合、発熱は認められないが成人や高齢者の場合、39℃以上の高熱を伴う
• 長引く激しい乾性咳嗽
• 頭痛
• 肝脾腫
• 比較的徐脈

疫学

• 飛沫感染（ヒトからヒト）
• 高齢者に多い

診断と治療

• 診断
  • 抗体価の測定（MIF法、ELISA法）
• 治療
  • テトラサイクリン系
  • ニューキノロン系
  • マクロライド系

Q熱

原因となる微生物

• コクシエラ・バーネッティ

特徴的な症状・所見

• 風邪のような症状を呈する
• 自然に症状が軽くなることが多い

疫学

• ペットなどの動物の排泄物・胎盤・羊水などから感染

診断と治療

• 診断
  • 抗体価の測定（ELISA法）
• 治療
  • テトラサイクリン系

アセスメント

• 非定型肺炎とは何かを理解しているか
• 非定型肺炎の分類と各特徴について理解しているか