目次
目的
- 誤嚥性肺炎患者への看護計画について理解を深め、適切なケアを行う
観察項目
検査データの確認
- 血液データ(白血球、CRP値の上昇、赤沈の亢進、Alb、TP、Hgb)
- 胸部レントゲンや胸部CTの所見(陰影や胸水)
炎症所見
- 発汗
- 悪寒・戦慄
- 胸背部痛
- 体熱感
- 倦怠感
- 息切れ
- 高熱
- 頻脈
- 過呼吸
- 低体温
口腔内の観察
- 口腔内乾燥の有無
- 食事摂取状況
- 食物残渣の有無
- 虫歯、歯肉損傷の有無
嚥下障害の有無
- 咀嚼力
- 咀嚼・咽頭への送り込み・嚥下状況
- ムセ・咽頭違和感・嗄声の有無
- 咳嗽反射の有無
気道内の観察
- 喀痰の性状(色、量、粘稠度)
- 咳嗽の有無と状態(乾性・湿性)
- 喀痰困難の有無
- 誤嚥の有無
- 痰の増加の有無
- 咽頭における痰貯留音の有無
- 呼吸音
- 胸郭の振動
- 喘鳴
意識レベル
- 呼名・従命反応の有無
栄養状態
- 食事摂取の内容と摂取量
- 排泄状況
- 体格指数
- 体重減少
呼吸状態
- 呼吸困難・チアノーゼの有無
- 鼻翼呼吸
- 血液ガスデータ
- 酸素飽和度
看護計画
食事形態や食事内容の選択
- 嚥下障害のスクリーニングテストで誤嚥がみられる場合、嚥下障害の程度により、その人に合った食事形態を選択することが重要である
- 管理栄養士やNST(栄養サポートチーム)と連携を取り、食べやすく飲み込みやすい嚥下食を提供できるよう調整する
- とろみ剤やゼリーを効果的に使用する
口腔ケア
- 口腔内の清潔保持に努め、自浄作用を維持することで誤嚥性肺炎を予防する
- 唾液の分泌低下による口腔内乾燥は、口腔内の細菌増殖へとつながる
食事摂取時の体位
- ベッド上で食事摂取する場合、体位は30度ベッドアップ、頸部前屈を基本とする
- 頸部前屈により、気道内への異物の侵入をリスクが低下する
- 椅子や車椅子など坐位で食事摂取する際、摂食に適した体位が取れるよう足底を床に着ける
- 膝関節が90度になるよう調整する
食事介助
- 嚥下障害の状況に応じ、以下の嚥下訓練を行う
- 口腔内アイスマッサージ
- 間接訓練
- 嚥下体操
- 空嚥下
- 交互嚥下
- 適切な体位を保持する
- とろみのついた水あるいはお茶を一口飲み込んでもらう
- むせがない場合、状態観察をしながら少しずつ飲み物を口に入れる
- 食べ物を口に運ぶ際、口腔内に食物残渣がないか確認する
内服介助
- 確実に飲み込めているか口腔内を確認する
- 粉薬や錠剤などが飲み込みにくい場合は、とろみ水やゼリーなどを活用する
吸引・ドレナージ
- 誤嚥が認められた場合、速やかに吸引を行う
- 嚥下反射の低下により咽頭の送り込みが弱く、痰や食物残渣があるときは適宜吸引を行う
経管栄養注入
- 注入時の体位は30度以上の角度を保つ
- ギャッチアップの制限がある場合、右側臥位を基本とする
- 注入速度や濃度の調整を行う
精神的サポート
- 誤嚥性肺炎の既往がある患者は、食事に対する不安を抱きやすい
- 誤嚥予防の必要性と方法について十分な説明を行い、理解を得る
- 嚥下状態の観察や嚥下訓練は了承を得ながら行う
アセスメント
- 誤嚥による症状を理解しているか
- 誤嚥を防ぐケアを理解しているか
- 患者の嚥下障害の状態に合わせたケアが行えているか