用語解説
用語の読み
いりょうかんさつほう(いりょうかんさつほうせいど)
用語の意味
医療観察法とは心神喪失あるいは心神耗弱の状態(精神障害のため、善悪の区別がつかない等の刑事責任が問えない状態)で重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強制わいせつ、傷害)を行った人に対し、継続的かつ適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした法律です。心神喪失者等医療観察法ともいいます。
本法律の成立以前は、精神保健福祉法による措置入院制度に基づいて対応していましたが、専門的ケアや退院後の医療を受ける仕組みが十分でない等の問題点が指摘されていました。そのため本制度には、裁判所が適切な処遇を決定し、専門的医療を統一的に提供することや地域において、継続的な医療を確保するための仕組みを整備すること等が盛り込まれています。
その概要は以下の通りです。
- 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行ない、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に、検察官は、医療観察法による医療および観察を受けさせるべきか地方裁判所に申し立てます。その後、鑑定が行なわれ、裁判官と精神保健審判員の各1名からなる合議体による審判で、本制度による処遇の要否と内容の決定が行なわれます。
- 審判の結果、入院による医療の決定を受けた人には、厚生労働大臣が指定した医療機関(特定入院医療機関)において、通常18ヶ月間、専門的な医療の提供が行なわれるとともに、社会復帰調整官により、退院後の生活環境の調整が行なわれます。
- 通院による医療の決定および退院を許可された人に対しては、原則として3年間、地域において、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定通院医療機関)による治療を受けることになります。
平成22年12月31日までの医療観察法の申込件数は2,029件。うち入院決定が1,207件、通院決定が346件、不処遇決定が315件です。また、入院対象者の疾病別内訳においては、男女とも統合失調症、統合失調障害および妄想性障害と診断された人が最も多い結果となっています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント

医療観察法は精神疾患患者が犯罪を犯した場合の救済の一つと言えるでしょうか。
鑑定入院の決定は検察官が行い、裁判所が鑑定入院先を指定するとなっています。
多くの人は閉鎖病棟に入院することが多いようですが、入院期間は最長でも3カ月!!これで回復が見込まれるのかは疑問ですが、その後はやはり審判により決定されるとの事。
指定入院医療機関は、国立系の病院や、都道府県の医療機関が主となっていて、現在の問題点はこの入院環境の整備が遅れていることが大きな問題となっているようだ。
入院対象数と、全国の病床数を見てもギリギリのところで、賄っている現状が見て取れる(大丈夫なのだろうか…汗)
最近でも、殺人事件を起こして、不起訴となった男性が医療観察法に基づき入院していた医療機関で、同病棟の入院患者を殺害してしまった事件があった(以前の殺人も病院内!!)
病院内で、殺人が繰り返されてしまったのだ。この事件は病室の施錠をしていなかった事が要因の一つとなっている。
ドクターや看護師にとっては犯罪者でも患者の一人には違いないので同様に接するだろうが、このような事件が又起らないとも限らない!!
そして、私達看護師やドクターがこの被害者となる可能性もある。だからこそ一刻も早く環境の整備が望まれる!!