目的
- 挿管チューブのカフの役割及びカフの及ぼす影響、管理の方法について理解することができる
カフについて理解する
カフの役割
- カフとは、気管チューブの先端にある風船状のもので、パイロットバルーンから空気を注入して膨らませて調整をする
- カフの役割は下記の通り
- 気管壁に密着することでリークを防止し、陽圧換気を維持する
- 上気道からの分泌物、胃内容物が逆流した際に気管へ垂れ込むことを予防する
気管挿管者の誤嚥の原因には、カフ圧上部に貯留した分泌物がカフと気管壁の隙間から侵入する不顕性誤嚥があり、これが人工呼吸器関連肺炎(VAP)の原因ともいわれている
カフが身体に及ぼす影響
- カフ圧は20㎝H₂O以上、30㎝H₂O以下で調節することが望ましい。
気管支粘膜の血流圧は動脈系で約30mmHg(40㎝H₂O)、静脈系では約18mmHg(25㎝H₂O)である。
- カフ圧が30㎝H₂Oを超えた場合
- 気管粘膜血流が低下する
- 気管支粘膜の血流が阻害される
- 気管支粘膜の虚血や壊死、肉芽、潰瘍形成、穿孔などを起こす可能性がある
- カフ圧が20㎝H₂Oより低い場合
- 気管支と挿管チューブとの間に出来た隙間により、リークが起こる
- 陽圧換気が維持できず、換気量低下を招く
- カフ上部の貯留物が気管へ垂れ込みやすくなる
- 結果的に、誤嚥性肺炎の原因となることがある
カフ圧の調整方法
カフ圧計を使用する際には、施設ごとで使用している単位がcmH₂Oなのか、mmHgなのかを必ず確認しておく
- カフ圧は下記の方法で調整する
- 調整は始業時点検の時だけでなく、口腔ケア、気管吸引、体位変換時などのケアの際にも定期的に行う
- 気管チューブのパイロットバルーンとカフ圧計の接続ポートを接続する
- グリップを握ってカフにエアを注入する。カフのエアはサイドにあるリリースボタンを押して少量ずつ抜きながら調整する
- 最終的なカフ圧を確認してパイロットバルーンからカフ圧計を外す
カフは経時的に低下するため、調整時は上限である30㎝H₂Oに合わせる
最期に聴診やグラフィック波形からカフリークが無いかを確認する
バルーンを持つとエアが抜けやすくなるので持たないようにする
カフ圧計を使用する際には機器の添付文章に示されている手順を遵守することが大切であり、各施設によって方法に違いがあるため、各施設でメリット、デメリットを考えて行うようにする
アセスメント
- カフ圧の上限、下限を理解しているか
- 上限を超えた場合、下限を下回った際に患者に起こりうることについて理解できているか
- 自分の施設でカフ圧に対して使用している単位について理解できているか
- カフ圧調整時には施設の方法に則って、患者に苦痛を与えずに行えているか
「いまさら聞けない看護技術」の最新情報をチェックしよう
当サイトは、「あした仕事で使う知識を学べる」ナース専用のハウツーサイトです。
Facebook または Twitter で最新情報をチェックして、職場の同僚と差をつけよう!
Follow us!