目的
- バッキングについて理解する
- バッキングが起きた時、患者への適切な対応がとれる
バッキングとは何か
人工呼吸管理中に患者が咳込みだした!
- バッキングとは患者がせき込みだすことにより、呼吸器の送気リズムが合わなくなった状態のことをいう
- 気道粘膜の刺激によって生じる咳嗽反射
人にはもともと生体防御反応として備わっている機能であるため、必ずしも異常ではないということを理解しておく
但し、次の場合は原因究明と適切な対処が必要
●深い鎮静効果を維持する治療をしている患者の場合
●本来なら咳嗽反射が無いほど、呼吸障害などが深い場合
バッキングの原因
- バッキングの原因には、以下のようなことがある
- 気道分泌物の貯留(下記参照)
- 呼吸器回路内の結露の流れ込み
- 気道粘膜の乾燥
- 挿管チューブやカフの違和感、疼痛
- 不適切な気管チューブの深さ
- カフトラブル
- その他
気道分泌物の貯留
- 分泌物が気道に刺激を与え、分泌物を排除しようとして、咳嗽が発生する(自然な反応)
- 特に下記のケア後は分泌物の移動による咳嗽が起きやすいため、吸引を準備しておく
- 体位変換を行った後
- ドレナージ体位を行った後
- 離床時の経過中
- 口腔ケアや気管チューブの巻き直し、吸入の後
これらのケアを行った後は末梢の分泌物が重力や絨毛の動きとガスの流れによって上気道側へ移動してくるため、分泌物が増える
挿管チューブやカフの違和感、疼痛
- 挿管チューブが気管を刺激することによって、咳嗽が発生する(自然な反応)
- 首を動かした時
- 挿管チューブの位置のずれ
- 挿管チューブに対する違和感
気管内に異物が入っているため、そのこと自体が違和感となる
咳嗽が湿性であるか、乾性であるかを観察し、乾性であれば、吸引を行わなくても治まることが多い
バッキング時の対応方法
- バッキング時はその原因に応じて下記の対応を進めていく。
- まずは患者の状態を観察する
【意識・循環・呼吸・Spo2】
→循環や呼吸状態に異常があればドクターコール
→バックバルブマスクなどを使用した用手換気への切り替えを考慮 - 呼吸状態や痰の貯留状態などを観察し、バッキングを起こした原因を考察する
- 必要に応じて気管分泌物の吸引、カフ圧の調整、呼吸器回路内の結露除去などを行う
- 人工呼吸器の設定が患者の呼吸状態にあっているかを確認する
- 患者の鎮静、鎮痛、精神状態を確認する
- 挿管チューブのカフトラブルの有無を確認し、異常があれば医師へ報告しチューブの交換を依頼する
- これらの対応を行ってもバッキングがおさまらない場合は直ちに医師へ報告する
バッキング時の対応の中には医師の指示及び医師の手技でなければ施行できないものもあるため、医師への報連相を行い、指示を仰ぐ
アセスメント
- バッキングによる呼吸への影響を理解し対応できているか
(バッキングにより換気が妨げられ低酸素に陥る可能性あり) - 観察により、バッキングの原因を把握することができたか
- バッキングの原因に応じ、適切な対処を行うことができたか
バッキングを起こさないケアをすることも大切
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