人工呼吸器トラブル 3 事故抜管
人工呼吸器トラブル 3 事故抜管【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2017年5月25日
最終更新日:2017年5月25日
(変更日:2023年5月19日) ※
目的
- 事故抜管時の患者の状況を理解して、適切に対応していくことができる
事故抜管とは
- 意図せず、医療者による処置中に、挿管チューブが抜けてしまう状態
- 具体的には、体位交換時や移動時などの際に挿管チューブが抜けてしまうこと
気を付けていても不測の事態は起こりうるため、緊急事態であるということを念頭に置き、適切な対処をすることが必要となる
事故抜管となりやすい状況と対策
- 気管チューブがしっかりと固定されていなかった場合
- 口元に貼っている固定テープが緩んでしまっていることで、挿管チューブが抜けやすい状況となる
- 固定テープが緩みやすい状況とは下記の通り
- 唾液が多く、流れ出ている
- 口腔ケア時の水分が口腔周囲に付着している
- 患者の皮脂や汗によるテープの粘着力の低下
- 気管チューブがしっかりと固定されていないと判断したらすぐに固定テープを張り替える
- 人工呼吸器の移動などによる不慮の抜管
- 人工呼吸器を移動することによって誤って挿管チューブが抜けてしまうことがある
- 人工呼吸器が移動されてしまう状況は以下の通り
- 気管吸引をしたとき
- 体位変換をしたとき
- 患者の体動
- ベッドや人工呼吸器の移動
- 蛇管自体の重み
- 蛇管アームの転倒
患者の移動やケア時には十分な注意を払う
回路には遊びを残して置き、無用なテンションをかけないようにする
事故抜管が起こってしまったら
- 事故抜管となった時は看護師の適切な行動が求められる
- 事故抜管時は、患者の自発呼吸が全くない場合が多い
- 自発呼吸が全くない状態の患者への対処法は以下の通り
呼吸停止後5~10分後で、循環停止(心停止)が起きるとされている
事故抜管後、適切な呼吸状態に戻るまでの時間により、脳や心臓を始めとする臓器が虚血状態となり、不可逆性変化を起こす原因となる
事故抜管を発見した時の観察項目
- 事故抜管が起きた時は、看護師がそばにいることが多い
- 看護師が適切に行動できるかどうかが、患者の状態を悪化させないカギとなる
- 事故抜管に気づいたらまず、以下3点を確認する
- 患者に自発呼吸があるか
- 意識レベルの確認
- 事故抜管が起きた時間とその状況
アセスメント
- 事故抜管にすぐに気づくことが出来たか
- 事故抜管に対する適切な対処を行うことが出来たか
- 対処後、充分な観察を行うことが出来たか
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