人工呼吸器装着患者の鎮静 1

人工呼吸器装着患者の鎮静 1【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2017年6月8日
最終更新日:2017年6月8日
(変更日:2017年6月12日) ※

目的

  • 人工呼吸器装着患者への鎮静について理解する
  • 鎮静中の患者管理を適切に行うことができる

人工呼吸器管理中の患者への鎮静の意義

人工呼吸器装着患者が抱える不安や苦痛

  • 人工呼吸器管理中の患者は、様々な不安や苦痛に悩まされることとなる
    • 発声ができないストレス
    • 侵襲的モニター装着による苦痛
    • 気管吸引などの処置に伴う苦痛
    • 術後疼痛、創部痛などの苦痛
  • この他、挿管(気管)チューブが留置されていることによる違和感や、鎮静薬による健忘、記憶の欠損などに対する不安もある

人工呼吸器装着患者へ鎮静を行う目的

  • 患者の安全・快適性の確保
    • 前述した人工呼吸器管理に伴う不安や苦痛を和らげる
    • 挿管(気管)チューブ留置や、侵襲的モニター装着に対する不快感の軽減
    • 安静の促進と、睡眠の促進
    • 処置に対する苦痛の軽減
    • 自己抜管の防止
  • 酸素消費量、基礎代謝量を減少させる
  • 換気の改善、圧外傷の減少
    • 人工呼吸器との同調性を改善する
    • 呼吸ドライブ(呼吸中枢)の抑制

鎮静管理の全体像

  • 鎮痛と鎮静
    • 女性よりも男性の方が疼痛を強く感じる場合が多い
    • 鎮痛を考慮しながら、鎮静を行うことが重要
    • 侵襲的処置や疼痛を伴う処置を行う可能性がある場合は、処置等に先行して鎮痛薬を投与する
  • 不穏と鎮静
    • 筋弛緩薬を使用している場合、定期的な鎮静深度および鎮静の質を評価することが望ましい
  • せん妄
    • ICUにおけるせん妄は、長期予後や死亡率との関連が研究されている
    • 定期的なせん妄のスクリーニングを行うことが推奨されている
    • せん妄の予防として早期モビライゼーション(関節運動)が推奨されている
現在のところ、全ての患者に至適とされる「鎮静レベル」は明らかになっておらず、患者の状態や家族の心理状態等にあわせ、定期的な見直しを図ること、正確な記録を残すことが推奨される

 

鎮静中の患者管理

  • 鎮静中の患者のへの対応にとして、下記のケアを試みることから始める
    • 睡眠パターンが保たれるように環境を整える
    • 不要なチューブやドレーンは抜去を検討する
人工呼吸器管理に伴う不安や苦痛を和らげることで患者の安静が維持できるようになるなら、鎮静レベルを再検討できる可能性が生じる(過剰鎮静の回避)
  • 鎮静が過剰になることを「過剰鎮静」という
  • 過剰鎮静により、以下の障害が起こる可能性がある
    • 長期臥床により廃用症候群を生じる
    • 体動が減ることで、褥創、深部静脈血栓症・肺梗塞のリスクが高くなる
    • 呼吸筋の萎縮・筋力低下により、下側肺障害を招く
      • 結果的に、人工呼吸器装着期間が長くなる可能性あり
    • 鎮静により人工呼吸器装着中の記憶が残らないため、人工呼吸器から離脱後、精神障害を生じる可能性がある
  • 鎮静が十分でない状態を「過小鎮静」という
  • 過小鎮静により、下記の弊害が起こる可能性がある
    • 患者の不安や不快感が増す
    • 充分な安全性が確保されない
    • 不穏やせん妄を引き起こす可能性がある
    • 酸素消費量、基礎代謝量が減少する
特に過少鎮静による疼痛は不穏やせん妄を増強させる可能性があるため、鎮痛を考慮した鎮静レベルの設定が重要

アセスメント

  • 人工呼吸器管理中の患者の鎮静の目的を理解できているか
  • 鎮静中の患者の全体像を把握できているか
  • 鎮静中の患者が過少鎮静、過剰鎮静となっていないかを、観察等から導き出せているか
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