用語解説
用語の読み
あんらくし
用語の意味
安楽死は、死期の切迫した不治の傷病者(末期患者)に対して、その堪え難い苦痛を緩和・除去し安らかな死を迎えさせることをいいます。しかし、安楽死については明確な定義が確立している訳ではなく、宗教、哲学、文学、医学、法学など様々な分野で、現在も議論が行なわれています。
その安楽死は、投薬などによって傷病者の死期を早める積極的安楽死と延命措置をとらず死期を早めない消極的安楽死の大きく2つに分類されます。
歴史的には、中世キリスト教社会においては安楽死であっても人間が人の生命を奪うことは神の意思に反するという考え方から、殺人の一種として処罰の対象となりました。しかし、近代になると法と宗教の分離が強く叫ばれるようになり、医学の発達も契機となって18世紀末には死苦から解放するための積極的安楽死を是認しようとする考えが起りました。
そして20世紀に入ると、安楽死合法化を求める動きが広がり、1930年代にはイギリスやアメリカで「安楽死協会」が相次いで発足しました。2001年にはオランダ、2002年にはベルギーで安楽死を認める法律が制定されましたが、いずれも本人の自発的な意思がその容認条件としてあげられています。
わが国においても、かつては安楽死を刑法によって処罰すべきとする見解がありましたが、今日では一定の要件を満たせば違法または責任が阻却され犯罪にはならないとされています。その一定の要件は、1962年の名古屋高裁の判決で示されました。安楽死として違法性阻却となるためには、以下の6つの要件を満たす必要があります。
- 病者が不治の病に冒され、その死が目前に迫っていること。
- 病者の苦痛が甚だしく、何人もこれを見るに忍びない程であること。
- もっぱら、病者の死苦の緩和が目的であること。
- 意思を表明できる場合には本人の真摯な嘱託、または承諾があること。
- 医師の手によるか、医師によりえない特別な事情があること。
- その方法が倫理的にも妥当なものとして認容しうること。
これは、世界で初の「安楽死容認の要件の提示」として、世界中に影響を与えました。
看護師・椿(つばき)の一言コメント

日本での安楽死(積極的)は法的にはまだ認められていません(殺人罪になる!!)
安楽死には2種類あり積極的安楽死と消極的安楽死があると言われています。
積極的は薬物投与を行う方法で消極的の場合には無意味な治療を行わないつまりは尊厳死やナチュラルコースに当てはめることが出来るのではないでしょうか。
積極的安楽死の問題点としては根本的に法律で認められていないという点が大きいように感じます。
それに最終的な決定権は誰であれば良いのか??という点においても問題でしょう。
それがもしドクターなのであれば道義的とか道徳・論理的な問題もあり日本で認められるようになるのは難しいかもしれませんね。