用語解説
用語の読み
ぴー・ふぉー・ぴー
用語の意味
P4P(PAY FOR PERFORMANCE:ペイ フォー パフォーマンス)とは、病院などの医療機関が、効果的で質の高い医療サービスを提供するのに応じて、保険会社や契約企業が経済的インセンティブ(奨励金)を与えるという制度です。その目的は、単に高質の医療サービスに対しボーナスを与えることにとどまらず、医療の質の向上と医療費の有効活用の実現を促すことにあります。
P4Pが最初に取り入れられたのはアメリカでした。その経緯は、平成13(2001)年にIOM(米国医学研究所)が、アメリカの医療の質の低下に警鐘を鳴らしたことに始まります。IOMの指摘はアメリカの医療サービスについて、標準的な医療レベルの半分程度しか提供されていないことでした。この指摘により、P4Pの導入の声が高まり、政府は平成16(2004)年、高齢者保険での試験的なP4P導入プログラムを実施しました。P4Pはアメリカで正式に導入される運びとなり、その後は、イギリス、カナダ、オーストラリアでも採用されています。近年は韓国や台湾といったアジア諸国でも導入されました。
P4Pが導入されることによるメリットは以下の通りです。⑴医療機関にとっては、質の高い医療を提供すれば、それに見合った分の報酬が受け取れる。⑵患者さんにとっては、高質の医療を提供している医療機関を利用できる。⑶企業側にとって、医療費を適正化できる。
良い事尽くめに思われるP4Pですが、医療の質を判断する基準については、まだ定まっていないものも多いなどの問題もあります。
日本では、まだP4P導入の取り組みはされていませんが、多発する医療ミスなどの背景から、患者さん側の医療の質への関心も高くなっています。また、医療の専門家の間においても医療の質に応ずる支払い方式の導入を求める声が高まっています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント

このP4Pは医療機関を評価して医療の質によってボーナスが出るということですか…。
P4Pが導入されたら病院にとっては死活問題になりかねない問題ですね。
医療の質の評価なんて微妙なさじ加減でどうにでもなる感じがします。
そもそもアメリカの標準的な医療が半分程度しか提供されていない国では医療の向上という面では意味があるのかもしれませんが日本のように割と標準的な医療が受けられる国では難しいように感じます。
日本版P4Pでは臨床指標や診療ガイドライン準拠率・ジェネリック使用率・クリティカルパス使用率・IT化、情報開示率・患者満足度・連携パスと臨床指標の組み合わせで評価する等の案も出ているようです。しかし、それにはまず電子カルテが完全普及しない事にはデーターを抽出するのも難しいでしょうし実現するかどうかはまだまだ先の話になりそうだ。