用語解説
用語の読み
とりあーじ
用語の意味
地震などの災害が起きた時、多くの傷病者に対して診察・治療が必要となるため、医療機関に患者が集中します。各地域の災害拠点病院を中心に、病院では常日頃から大規模災害に備えて医療従事者の訓練をしたり備蓄庫に医薬品・リネン類・食料品・飲料水を保管したりしていますが、病院の機能にも限りがあります。また医療機関の設備自体も被災することで通常のように作動しない場合も考えられ、この状態で既に入院している患者の治療・看護を行いながら一気に外来に詰めかける患者たちの対応をすることは困難を極めます。
このように非常事態が発生している状況下での医療機関の第一目標は「限られたマンパワー・物品・設備を駆使して一人でも多くの命を救うこと」となります。この目標を達成するためには、患者のけがの程度や直ちに生命に関わる状態かどうかを迅速に見極めて搬送や治療の優先順位を的確に判定することが必要です。このような患者の見極めをトリアージと呼びます。
2005年に起きたJR福知山線脱線事故の救命に実際に関わった兵庫県・大阪府の医療機関の救急医療チームは、事故直後から重症患者の搬送がスムーズに進んだと振り返ります。阪神淡路大震災の教訓が活きて、トリアージや地域との情報伝達(各病院の集中治療室の空き状況や受け入れ態勢など)が円滑に機能したことが最大の要因です。病院勤務医だけではなく地域で開業する開業医も交えて、救急隊やその他の医療従事者との連携や円滑なトリアージをすることが今後の課題です。
トリアージでは患者の重症度や緊急性に応じて4つの区分(重症群は赤色、中症群は黄色、軽傷群は緑色、死亡群は黒色)に分類します。トリアージ担当者はトリアージを行った後、トリアージ・タッグ(トリアージ識別票)のミシン目に沿って赤・黄・緑・黒のうち該当する色が一番下に来るように切り取ります。このトリアージ・タッグは、原則的に患者の右手首につけることになっており、トリアージ担当者以外の医療従事者が一目見て患者の重症度や対処法が分かるような「緊急時の簡易式のカルテ」としての役割も果たします。このトリアージ・タッグの色別に、4つのグループに分かれた救護班がそれぞれ適切な処置をスタートします。
トリアージ区分を担当する人をトリアージオフィサーと言いますが、日本では災害時にトリアージを行うことができる人を法的に定めていません。そのため救急医療に関する特別な資格を持たない人がトリアージしても違法にはなりませんが、緊急時の混乱のなか正確な医学的判断をする能力が求められるため、実際は一定以上の経験を積んだ医師・看護師・救急救命士が適任となります。
トリアージは災害時以外でも、夜間の救急外来の対応や救急搬送にも活かされています。近年明らかに緊急性が認められないにもかかわらず119番通報する人(コンビニ受診)が増えることで、本当に救急車の出動を必要としている人への対応が遅れる傾向が強くなっていたことから、東京消防庁は2008年6月から救急搬送トリアージというシステムを導入しました。システム導入後、救急隊員の活動時間の短縮が認められたため、今後首都圏以外の地域でも地域特有の問題点と照らし合わせながら救急搬送トリアージシステムが取り入れられる可能性があります。
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看護師・椿(つばき)の一言コメント
トリアージは災害等による救急医療の際の「症度の判定」になりますね。
一般的によく見るトリアージタックは黒⇒死亡⇒・赤⇒最優先治療を要する・黄色⇒待機可能・緑⇒保留等のように分けられます。
このトリアージはドクターor看護師or救急救命士が判断するのが良いとされています。
実際色分けするのにフローチャートもあって歩行の有無・呼吸・循環状態・意識レベル等に基づき分類する「START法」を用いたりする場合もあります。
当然問題点も挙がっています。
このトリアージは全ての傷病者を救うという医療的原則から外れるために極限的な状態の際に用いれられなければならないとされている。
しかし、最近では「災害=トリアージ」と言う考え方になっていてこの風潮は間違っているとの意見もある。
また判断する側の精神的負担が強い、判定する際に「情」が入る等の問題点も挙がっています。