用語解説
用語の読み
ないちんげーるせいし
用語の意味
ナイチンゲール誓詞とは、1893年アメリカのデトロイト州にあるハーパー病院看護婦学校の監督リストラ・グレッターがナイチンゲールの残した功績を讃えて作成した誓いの言葉のことです。ナイチンゲールの没後に作成されたため、もちろんナイチンゲール自身はナイチンゲール誓詞を知りませんが、今でも多くの看護学校の廊下や講堂にこの全文が刻まれ、その傍らにナイチンゲール像が設置されています。リストラ・グレッター夫人は看護の道に進むという決意を新たにするために、看護学校を卒業していく者達にナイチンゲール誓詞を読み聞かせ、神の前にその決意を誓わせていたとされています。
ナイチンゲール誓詞は紀元前3世紀から現在に至るまで多くの医学生に伝達されてきた「ヒポクラテスの誓い」を参考にして作られました。ヒポクラテスの誓いが医学に携わる者としての倫理・任務をギリシア神に誓う宣誓文であるのに対し、ナイチンゲール誓詞は医学・看護に関わる者としての任務や心構えをナイチンゲールの精神を基に作られた宣誓文となります。その内容を要約すると「純潔・忠実に人生を送り、病める人々の看護に誠の心を尽くすこと。」「害・毒があるすべてのものを絶ち、悪しき薬(致死薬)を用いないこと。」「看護を行う上で自分が知り得た事柄を決して他人に漏らさないこと。」などが誓われています。
しかし、当時に比べて飛躍的に進歩した医療技術や、看護師の役割・医師と看護師の関係の変化などを考慮すると、ナイチンゲール誓詞は現在の看護・医療業界において適切ではない表現や不足している内容などが目立つことが指摘されています。特に原文にある「われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げむ。」という一節は、「看護師の仕事が、医師の補助業務であるとされていた時代の考え方で、今の時代に合っていない。」「自己犠牲的献身によって看護をしなくてはならないというように聞こえる。」というような理由から、違和感をおぼえる看護師が多いことも事実です。ただ、ここに記されている「患者のために力を尽くす」という医療者としての態度や心構えは、100年以上経った今でも病める人に対する看護師の向き合い方として身につけなくてはならない基本姿勢ということが出来ます。そのため、今でも多くの看護学校・看護大学の戴帽式や卒業式など、節目となる儀式・行事の中で看護学生によって朗読されています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
ナイチンゲール誓詞、看護学校時代に暗記させられたなぁ…「我はここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わん~」(今でもやっているのかなぁ…??)
これを暗記して戴帽式の時にみんなでキャンドルの光と共に読み上げるという恒例の行事がありましたよね。
あの初々しい頃が懐かしい!!
しかし、このナイチンゲール憲詞、ナイチンゲール本人が作ったものではなくヒポクラテスの誓いにならって作られたもだったんだとは(もう忘れてた!!)
自分が死んだ後にこんなものが作られてるなんて本人が知ったらびっくりするだろうなぁ…。
まぁ確かに「我は医師を心より助けるー」の部分は看護師はだだの医師の補助的存在と言う意味に感じますよね。
しかし、医師と看護師は「対等、対等」と言われていても現実的には補助的役割もあるので私的にはこれでいいんじゃないのかなぁ…と思ってしまう。