用語解説
用語の読み
しょくぎょうびょう
用語の意味
職業病とは、仕事が原因で引き起こされる肩こりや首の痛み、慢性的な疲労、腰痛、目の疲れなどをはじめとする健康障害のことです。職業病は1950年代まで危険物・有害物を取り扱っている人達か、劣悪な環境での労働を余儀なくされている鉱工業労働者に限定されて認められる特殊な病気と考えられていました。
その当時職業病と認識されていた病気として「塵肺症」「有機溶剤中毒」「皮膚炎」「鉛中毒」「騒音性難聴」「高温になる作業所での熱中症」などをあげることができます。しかし1960年前後から突入する高度経済成長の影響で労働強化・合理化が進んだことをきっかけに、労働環境だけではなく業務内容そのものが人々の健康破壊に拍車をかけるようになり、これまで職業病とは無縁とされていた職種でも新しいタイプの健康障害を患う人々が急増しました。
具体的には、キーパンチャー(タイピストやレジ係など長時間同じ姿勢で連続的に指を動かす職業)をはじめ、電話交換手、印刷産業で働く者の間に広がった職業性頸肩腕障害や1980年代から広がったVDT障害(コンピューター画面を長時間見ることで目だけではなく精神面にまでも悪影響が及ぶこと)などがそれらにあたります。高度経済成長を境に急増した職業病は事務労働者の間以外でも、保母・教員・介護士が働く教育・福祉の現場で「過労による心身の不調」という形で目立ち始めました。また機械化による大量生産や長距離運輸に携わる労働者の過労・腰痛が急増し、女性の社会進出を背景にスチュワーデス・看護師・美容師など女性が多い職種の間でも腰痛や過労を訴える人が増加しました。高度経済成長を境に様々な職域に拡大・急増した職業病が問題となっているのは日本だけではなく、海外諸国の労働者達の間でも同じような現象が起こりはじめました。
現在では「職業病は危険物の取り扱いをするような特殊な業種に限らず、様々な領域で業務が原因となって心身の不調が引き起こされることがある。」ということが広く一般に認識されるようになってきました。しかしその症状が本人の体質や単なる筋疲労、精神的・心理的なものとしか見なされず、職業病として認められないために心身の限界まで仕事を休むことが出来ないという人も少なくはありません。事業主には労働者の健康管理をする義務がありますが、職員一人一人が自らの健康に注意を払い、異常を感じた時に早めに専門の医療機関を訪れることが大切です。
看護師・椿(つばき)の一言コメント

職業とは、特定の職業に従事していることによって罹患してしまう疾患の事ですよね!!
労働基準法では「業務上疾病」と呼ばれます。
有名な職業病の事例ではアスベストによるじん肺や肺がん・悪性中皮腫がありますよね。
看護師に当てはめるのなら腰痛や燃え尽き症候群・不眠等が例として挙げられるのではないでしょうか??
職業病の予防は要因となる環境の排除が一番有効!!…ではありますが業務が出来ないということは仕事を辞めろと言われているようなものですよね。
現在は従業員の健康に対する保障が強化されていて、職業病予防健診を実施している企業もあるようです。