用語解説
用語の読み
てきおうがいしょほう
用語の意味
現在、日本国内の医療機関で行われている医療のほとんどは保険診療で行われています。そのうち医師が処方する薬剤は、その薬剤の添付文書の「効能・効果(適応)」の欄に示されている疾患に対してだけ使用できるものとされています。しかし実際の医療現場ではこの欄に記載されていない疾患、つまり行政がその薬剤の適応症として承認していない疾患に対して、医師の責任・裁量で薬が処方されるという場面が往々にして見受けられます。このように、医師が国で認められた使用法・使用量以外の方法で薬剤を処方し治療することを「適応外処方」と呼びます。
適応外処方の場合その薬の使用は保険診療とはみなされず、患者の任意で行われる保険外診療(自由診療)として扱われるため、患者の費用負担が大きくなるという問題があります。そのため適応処方があればまずそちらを使用し、効果が現れにくい場合にやむを得ず適応外処方を行うことが一般的となっています。また適応外処方は保険適応外の為、それによって患者側に健康被害が出た際に薬剤の副作用被害救済制度に適応されないという点も適応外処方を積極的に使用する医師が少ないことの理由となっています。医師が適応外処方を使用する際、症例報告や先輩医師の使用例を参考にしたり、海外の学会等のガイドラインで使用が推奨されていることを根拠に行っていることが多く、安全性と有用性が危険性をはるかに超える場合に患者の同意を得てから使用するケースがほとんどです。
これらの適応外処方を保険適応にするためには、厚労省が現実的に使用されている適応外処方の使用を認めることと、製薬会社が適応を拡大するために臨床治験を実施し、安全性・有効性を確認する必要があります。しかし治験の実施には膨大な費用と時間を費やすことから、製薬会社側は適応拡大に向けての治験を組むことに対して消極的です。
この状況に対して、現場の医師には「保険適応外の薬でも有用性を認めている事実がある場合、保険適応に向けて国と製薬会社が検討すべきだ」「科学的根拠が証明され海外では使用されている薬が日本で承認されないのは、厚労省と製薬会社の怠慢である」「適応外処方とは保険適応外という意味で、医療上の適応外ではない」という意見や不満を持つ者も存在しています。またこの問題には、適応外処方による自由診療は治療費が高額に上るため、全ての人々が平等な条件で治療を選ぶことが出来なくなるという側面も持ち合わせています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
適応外処方は本来自由診療扱いになるので保険診療と併用することが出来ないものですが…例外的に保険が適用されるたり併用できるものとがありなんだかややこしい…。
本来は薬の適用ではないけれども有効な治療法がない場合に適応外の薬品を処方する(当然効果があるという前提で…)という裏技的な方法ですね。
実際の例を挙げれば突発性難聴に⇒メチコバール・水泡⇒ゾビラックス・片頭痛⇒ロキソニン等のようにです。
この場合にはレセプト上でも保険適用となる例外に当てはめる事が出来るようです。
社会保険診療報酬支払基金のホームページ上では適用となる薬品と疾患について事例が挙げられているので一度目を通しておくと良いかもしれませんね!!