用語解説
用語の読み
いりょうふしん
用語の意味
昔なら多くの場合診断された時点で手遅れとなっていた「がん」ですが、今では慢性疾患とも考えられる時代になりました。また脳血管障害や心疾患に関しても同様で、発症後の対処によって一命を取り留めることが出来るケースが増えています。また現在は遺伝子治療や先進医療、臓器移植、不妊治療、終末期医療などをめぐる様々な問題に国民の社会的関心が高まってきています。このように、私たちを取り巻く医療情勢は日々進歩しているにもかかわらず、人々の間では医療不信の念が後を絶ちません。医療不信とは具体的には「医師をはじめとする医療従事者の説明に納得がいかない」「治療内容・料金などについて説明されたが理解できない」「横柄な態度をとられるので、萎縮して話が出来ない」というもので、これらは医師と患者との間に基本的な信頼関係が構築されていないことを示しています。年々件数が増える医療訴訟においても、医師と患者との間に信頼関係が築けていなかったことや、医師の言葉不足や問題発生時の対処方法に対する患者側の不信感がきっかけとなって訴訟に至るケースが後を絶ちません。
しかし医療不信について語る時、多くの場合は萎縮医療そのものや医師の態度などを一方的に批判するという風潮が社会に広がっているという事実があります。例えばコミュニケーション不足の問題でも、患者側に医療に関する知識を積極的に知ろうとする姿勢がなく常に受け身の姿勢でいたことで医師の説明が足りないと感じてしまうというような、患者側の原因について取り上げられることはあまりありません。医療を受ける際にリスクを伴うことは当然で、しかも難易度の高い治療を受けるほどそのリスクは高くなります。この現実に目をそむけて「悪くなったら医者が治してくれる。」という安易な考えを持つことが、医療不信に拍車をかけているという側面があります。我が国の平均寿命は世界でもトップクラスを誇るようになりましたが、この背景には医学や科学技術の飛躍的な進歩だけでなく、上下水道の整備による衛生状態の改善・国民の栄養状態の改善・乳幼児の死亡率の低下などをあげることが出来ます。しかし命や健康に関する問題についてメディアが取り上げる場合、医学や科学技術の進歩に焦点を当てられることが多く、この傾向がさらに我々が医療に対する過度な期待を持つきっかけの一つになっていると考えられます。
医師と患者の間にある見えない壁を埋めるためには、十分なコミュニケーションによる信頼関係の構築が基礎となります。しかしその信頼関係は医師をはじめとする医療従事者だけが努力しても築くことが難しく、患者側も自分にとっての医療・健康について考える姿勢を持たない限りその壁を取り払うことはできません。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
医療不信は患者やその家族が医療行為や医療従事者・医療施設等に対して抱くものです。
特に医療ミスや医療事故が起った際に強く不信感を抱くのではないでしょうか。
看護師の言動に対しても医療不信を抱くきっかけとなることも多いようですね。
現在は患者中心の医療とは叫ばれていますが実際に意思疎通が上手く図れていないということは患者を中心に対応できていないというわけですよね。
対策にはやはり「時間」が必要な気がします。
今の3分診療の様な状態ではやはりコミュニュケーションが充分ではない気がしますし医療不信を抱く誘因になってしますからね。
この間に看護が入れれば一つの対策となるのかもしれませんが…(忙しいんだけどね)
しかし、ドクターも側も患者が理解出来るように説明し確かな同意が得られるように努力する必要もあるんだろうけどね…。