用語解説
用語の読み
じょうちょしょうがい
用語の意味
情緒障害とは情緒(何かに触れた時にわき起こる様々な感情)の現れ方がその他大勢の人から逸脱していたり、他人に比べて激しくなったりすることを自分でコントロールできないことが続き、それが原因で社会生活を送る上で支障をきたす状態のことを指します。どんな人でも情緒が不安定になったり激しく現れることがありますが、ほとんどの場合は一過性のものですぐに消失するため、これが社会生活に支障をきたすまでのレベルになることはありません。しかし情緒障害となるとこのような反応が何度も現れたり、その程度が激しくなるため、周囲の人たちに上手く馴染むことが出来なくなってしまいます。自分の殻に閉じこもるようになる、周囲の人に興味を示さない、破壊的な行動をとる、多動…などによって、対人関係がうまく築けないため本人がさらに自信をなくすばかりか、周囲の人も突発的な行動を理解しきれずに振り回されてしまう場面も見受けられます。
情緒障害の主な原因は、人間関係が上手く行かないことによる心理的ストレスの他、脳の一部の機能(中枢神経系)の障害や機能不全などと考えられることがほとんどで、特に自閉症や類縁障害の原因は脳の中枢神経系障害や機能不全と考えることが一般的です。
これらの障害は多くの場合幼少期から出現するため、保育園や幼稚園・小学校での様子が他の子供と違っているという理由から親や保育士・教員が気付くパターンが多くなっています。これらの子供たちは、障害によって学校生活をはじめとする社会生活に適応しにくくなっているため、それぞれの子供たちが持つ情緒障害の種類・原因・特徴・程度を把握したうえで適切な教育的配慮がなされる必要があります。
日本における情緒障害の教育内容・方法は大きく二つの種類に分けられていて、一つ目のタイプは発達障害(自閉症・アスペルガー症候群など)に包括される障害を持つ子供を対象としたものとなります。先に述べたように、このタイプの障害の主な原因は脳の中枢神経系障害や機能不全となります。二つ目のタイプは器質的な原因による情緒障害ではなく、心理的な要因が主な原因となっている情緒障害の子供を対象としたものです。具体的にはチック(筋肉が無意識に動き、本人の意思で止めることが出来ない状態。頻回にまばたきをしたり、首を揺らしてしまったりする症状を呈します)、不登校、選択的かん黙、多動などがこれに当たります。我が国ではもともと、情緒障害がある児童の為の特別な治療・教育というと、後者の心理的な要因による情緒障害を呈する子供の為のものとして広く認識されていました。その後、昭和40年代前半に自閉症の子供の対応が注目を集めたことから教育現場の緊急の課題となり、情緒障害特殊学級が増加する契機となりました。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
情緒障害は情緒の偏りや乱れを継続的に自身でコントロールすることが出来ずに社会生活や学校生活に支障をきたすことですよね。
身体的や器質的には原因になるような要因が認められない為に心理的原因により発症すると言われていてよく自閉症と間違われることも多いようです。
特徴的な症状はチック・爪を噛む・自分の毛を抜く・大声を上げる・暴力を振るう・暴飲暴食・登校拒否・かん黙等々ですね。
子供に起り得る情緒障害は多くの場合一過性にとどまるものとされ問題視されることはないですがこの状態が何度も繰り返される子供の場合には教育的な対応(特別支援学級)が必要となります。
治療法としては情緒障害児短期治療施設において心理療法が行われる方法もあります。
自閉症と同様に偏見や情緒障害への理解が必要と言えますね。