用語解説
用語の読み
でんじとらっきんぐしすてむ
用語の意味
厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」は、2011年7月7日に行われた会合で、海外では安全性が確認された上で承認されている6品目の医療機器等を日本でも早期導入することが妥当という見解をまとめました。このうちの1つが、電磁トラッキングシステムです。
電磁トラッキングシステムでは、後述する対象疾患の骨接合術を行う際、はめ込んだ釘(髄内釘)が骨内で動かないようにするための横止めスクリュー挿入操作におけるX線透視が不要です。そのため、患者・術者の放射線被ばく量を大幅に減少させることが出来ます。ソフトウェアで制御されている電磁トラッキングシステムを用いることで、画面上に表示された画像を術者本人が見ながら横止めスクリューを確実に挿入することが可能となります。
通常は横止めスクリュー操作の一連の作業の間、X線透視による位置確認が頻回に行われるため、患者はもちろん術者の頭部や前腕から手にかけての被ばくを避けることができません。またX線透視回数が増加するほど手術や麻酔の時間が長くなるため、被ばく以外の面でも患者が受ける負担が大きくなるのです。
対象疾患は
- 大腿骨・脛骨・上腕骨における骨幹部、骨幹端骨折など、主に外傷性の骨折
- 外傷性、病原性骨折後の骨癒合不全変形癒合による疼痛、歩行困難
- 腫瘍や骨転移等による病原性骨折の予防
- 骨腫瘍切除部の再建の為の骨移植の安定
- 骨折後の脚長差や四肢の短縮を認める症例に対する骨延長・骨短縮術
- 人工関節置換術後の骨折における骨折部の固定
の6つとなっていますが、我が国でのこのシステムの導入実績はありません。
諸外国における使用状況については、2010年にアメリカ、カナダ、オーストラリア、欧州で承認されて、約700台が販売されています。また中国、アルゼンチンでは現在申請中となっています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
電磁トラッキングシステムは厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で話し合われている6品目の中の一つです。
これは骨接合術の際に骨と髄内釘を固定する横止めスクリュー挿入操作をX線透視なしでサポートする物で、被ばく量を大幅に減らせるメリットがあります。
日本ではまだ導入実績なかったことから今回検討されているようです。
対象疾患は大腿骨・頸骨・上腕骨における骨幹部や骨幹端骨折・圧迫骨折の予防的固定術・腫瘍切除部の再建・骨延長・骨短縮・人工膝関節置換術後の骨折等・・
現在では約3万2千人が対象者となり一番多いのが上腕骨固定(36%)の症例というデータが出ています。