用語解説
用語の読み
こうしゅうはしんぼうちゅうかくせんしかてーてる
用語の意味
厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」は、2011年7月7日に行われた会合で、海外では安全性が確認された上で承認されている6品目の医療機器等を日本でも早期導入することが妥当という見解をまとめました。このうちの1つが、高周波心房中隔穿刺カテーテルです。
高周波心房中隔穿刺カテーテルの使用対象となる患者は、心房細動(心臓が小刻みに震えるように動く不整脈の一種)のため左心房の心筋焼灼術や、僧帽弁狭窄症(左心房と左心室の間にある弁が狭窄することで血液の流れが障害される症状)による経皮的交通切開術・弁形成術を受ける人となります。これらの処置を受ける際、右心房と左心房の間にある壁(心房中隔)に小さな穴をあけて右心房から左心房にカテーテル(管)を挿入する必要があります。
これまでは心房中隔に穴をあけるとき、Brockenbrough法が一般的でした。しかし、この方法は心房中隔に針を貫通させる際、機械的圧迫によって心筋に穴をあけるという方法のため、心房や大動脈に誤穿刺してしまう等の重篤な合併症のリスクを伴うものでした。また、心房中隔になかなか穴をあけることが出来ない患者の場合はX線透視時間の延長による患者側・術者側の被ばく量の増加が問題視されてきました。
これに対し、高周波心房中隔穿刺カテーテルを用いて心房中隔に小さな穴をあける際には、従来のような機械的圧迫ではなく、カテーテルの先端から流れる高周波エネルギーを使用し心房中隔を貫通させます。この方法だと、従来の方法よりも大幅に処置の時間が短縮されることや、心房中隔肥大等の穿刺が困難な症例でも確実に穿刺することができるようになります。
心房中隔を穿刺する処置の中で最も多い症例は心房細動で、全体の9割以上を占めると言われています。また現在日本では、心房細動に対する心筋焼灼術は年間に13000例実施されています。この状況を受けて、海外での研究結果や実施例を検討しながら早急に日本でも承認することが望まれています。現在、高周波心房中隔穿刺カテーテルはアメリカやヨーロッパ諸国で承認・販売されています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
高周波心房中隔穿刺カテーテルは心房中隔欠損や閉塞した肺動脈弁に対し、大動脈から挿入したワイヤーによって高周波で通電を行い穿孔する治療法です。
対象となる疾患は左心低形成症候群や三尖弁閉鎖大血管転位などの重症先天性心疾患を持つ新生児や乳児です。
日本では機械的に心房の中隔を貫通させる心房中核穿刺針は存在します。
しかし…高周波エネルギーによる製品は未導入ということから厚生労働省では「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入」の一つとして検討が行われている訳です。
これまでの外科的切除は人工心肺を使用したり、現在主流のカテーテルを用いた場合では動いている心臓に対して穿孔する力をかけることから誤穿刺などリスクが高い!!
現在、外科的な心房中隔欠損拡大術で心房中隔の穿孔を要する例は年間約10%前後いると言われており、早い段階での高周波心房中隔穿刺カテーテルの導入が望まれる所です。