用語解説
用語の読み
いんふえんざにゅういんさーべいらんす
用語の意味
厚労省は2009年に新型インフルエンザ(A/H1N1)が発生したことを受けて、「重症サーベイランス」を実施しました。重症サーベイランスでは、全ての医療機関がインフルエンザで受診・入院した患者の情報のうち、性別・年齢・基礎疾患等・治療方法・入院日・入院理由・急性肺炎の有無・急性脳症の有無・人工呼吸器利用の有無・ICU入室の有無・酸素使用の有無・PCR検査結果・患者状態(退院、転院等)、退院日等の情報を各自治体に報告しなくてはなりませんでした。この結果、インフルエンザが我々にどのような健康被害をもたらすのかを客観的に把握するための指数を把握することが出来るようになりました。また行政側もこの報告内容や指数を踏まえて、より効率的・効果的な対策を打ち出す形で、一定の成果を上げることができました。しかしこの方法では、医療機関や各自治体に通常業務と並行して調査・結果のまとめ・報告等を行う必要があるため、大きな負担がかかることが問題であると指摘されてきました。
これを受けて厚労省は2011年9月5日に、従来の重症サーベイランスに代わる新たな調査方法として「インフルエンザ入院サーベイランス」を開始しました。インフルエンザ入院サーベイランスでは、医療機関と自治体の負担軽減・報告対象の明確化・報告内容の簡素化を図るために重症サーベイランスが見直されたもので、この結果はインフルエンザ流行期に毎週公表されます。各医療機関や自治体はこのデータをもとに、日々のインフルエンザ診療や予防活動に役立てることができます。重症サーベイランスからインフルエンザ入院サーベイランスへの具体的な変更点は、重症サーベイランスでは「全医療機関からの報告・入院中に複数回報告・重症者・死亡者を方向・カルテ情報も報告・通念、毎週発表」だったところが、入院サーベイランスでは「基幹定点医療機関から報告・入院時のみ一回の報告・入院患者を報告・医療対応のみの報告・流行期だけ毎週公表」となったところです。
インフルエンザ入院サーベイランスでは「入院」を客観的指標とし、インフルエンザの重症化の危険性を把握することが出来ます。将来的にはインフルエンザ入院サーベイランスの蓄積や、既に行われているウイルスサーベイランスや患者発生サーベイランスのデータとそれらを合わせることで、インフルエンザ影響度の多面的評価が出来ることが期待されています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
「サーべイランス」は一般的には調査監視を意味していて、よく経済の動向や感染症の動向を調査する際に使われる言葉です。
これまでは「重症サーベイランス」と言って(2009年の新型インフルエンザの発生から)インフルエンザによる重症者動向を把握していました。
しかし、これが2011年9月には「インフルエンザ入院サーベイランス」に名を変えることになりました。
見直しされた内容は…
全医療機関からの報告⇒基幹定点医療機関からの報告
重症者・死亡者の報告⇒入院患者1回のみ
入院中複数回の報告⇒入院時1回のみ
患者の臨床情報を含めた報告⇒入院時の対応
重症サーベイランスは応急的な連絡方法として実施されてきましたが、入院サーべラインスに名前を変えることで恒久的に実施する様になったわけです。
このことにより、定期的にインフルエンザの動向を国民や医療機関に情報提供することにより対策や予防を促すことが出来るとしています。