用語解説
用語の読み
こうどじっせんかんごしせいど
用語の意味
近年我が国の医師不足・看護師不足が深刻化し、またこの状況と並んで医療の地域格差が問題となってきています。この背景には進歩し続ける科学・医療技術、人口の少子高齢化、核家族化、老・病・死に対する人々の意識の変化、価値観の多様化だけではなく、社会構造そのものの変化が存在していると考えられます。
医療を取り巻く環境がめまぐるしく変化するこのような現代社会において、医療現場での看護師の役割や業務内容・責任の範囲をもっと拡大すべきとの考えが厚労省や医師会・看護協会等の検討会によって議論されています。つまり看護師がこれまでの役割・業務を行っていくだけでは高齢化・多様化する国民のニーズに十分に対応することが出来ない為、看護師が行うことが出来る範囲を拡大することで人手不足解消や業務の効率化を図ろうとすることが目的で検討されているということです。
高度実践看護師制度とは、これまでは絶対的医療行為とされてきた医師のみが実践できる侵襲性の高い医療行為を
- 5年以上の実務経験がある看護師
- 厚労省が認めた教育機関(大学院修士課程)での専門教育・実習を終了したもの
- 第三者機関によってその知識・能力・技術の確認・評価を受けたもの
という条件を満たす特定看護師(仮称)が実施することが法的に認められるようになる制度のことです。
現在看護師の地位は保健師助産師看護師法でのみ定められていますが、特定看護師(仮称)となると脱水の補正(輸液)や創部処置等を法律の範囲で行えるようになります。今後さらに進む人口の高齢化に伴い、老人介護施設での医療行為や訪問看護師による医学的判断がますます必要性を増すことから、この制度の整備はとり急いで進められています。ただ、この特定看護師(仮称)育成については慎重論も多数認められています。その主な意見としては「医師不足を補うためにミニ・ドクターを作るというだけでは、医療崩壊の危機を根本的に解決することにはならない」「一部の看護師だけに特定の医療行為を認めるのではなく、まずは全ての看護師が行える医療行為の内容をはっきりとさせ、全体の教育を強化しなければボトムアップできない」などが挙げられます。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
現在の日本は生活の質、患者ニーズの多様化の社会的背景により、より充実した安心・安全が保障される保健医療が求められています。
しかし、現在は医師不足や公的病院等の経営危機により、医師以外の医療チーム(高度な知識や技術を持つ)看護師が求められています。
現在、議論されているのは、高度実践看護師といって自分で判断し医療行為や診断を行う事が出来る看護師です。
つまりは看護師が出来る医療行為が広がるということです。
そこで高度実践看護師の推進者として期待されているのが「大学教育」を受けた看護師です。
看護系の大学院で、理論と技能を学び、修士課程以上の教育を受ける事により高度な看護実践を行いうる能力を持つ看護師を誕生させるわけです。
しかし、これが実現するようになるには専門的知識や教育の充実又、現在の制度・法の改正等まだまだ課題が多いようです。
看護師も今のままの知識ではいけないよ!!学歴も必要だよ!!と大卒看護師の増加により学歴社会の焦りを感じますよね…。