例えば、医師が内科・整形外科…と専門が異なるように、看護師の仕事も専門によって細分化されています。その中で専門の資格を取得することより、看護師はさらに専門性の高い分野で活躍することができるようになります。
そんな資格の1つに呼吸療法認定士という資格があります。なかなか専門性が求められる資格ですが、勉強をしてこの資格を取得するという看護師もいます。
今回はそんな「呼吸療法認定士」という資格でどんな仕事ができるのか見ていきます。
呼吸療法認定士とは
呼吸療法認定士とは、日本胸部外科学会、日本呼吸学会、日本麻酔学会の三学会合同による、呼吸に関する専門知識と技術を有する医療従事者に対して与えられる、学会認定資格です。
高度医療の中で、重症患者管理の重要事項である呼吸療法に精通した医療要員の不足を補うため、資格対象となる4つの職種のそれぞれの分野において呼吸療法を習熟し、医療チームの構成要員を育成するために平成8年(1996年)から認定制度が始まりました。
看護師を始めとした医療従事者を対象に、認定委員会が認める学会や講習会に出席し、資格認定試験を行います。
受験資格対象者は、以下のとおりです。
- 臨床技工士(経験2年以上)
- 看護師(経験2年以上)
- 准看護師(経験3年以上)
- 理学療法士(経験2年以上)
受験資格の経験年数は正規雇用のみカウントとされます。
呼吸療法認定士の合格率
呼吸療法認定士は、年々受験人数が増えていますが、合格率は一貫しておよそ60~65%です。
重症患者の呼吸管理は、患者さんの生命維持管理にも繋がる非常に責任の重い看護です。そのため、求められる専門知識と技術のレベルは高く、医療現場での経験があっても決して片手間に合格できる資格ではありません。
また、呼吸療法認定士は無期限資格ではありません。
高度医療の中で知識と技術に精通した医療要員の育成を主目的としているため、5年ごとの認定更新制度によって最新の呼吸療法を習得し、常に現場にフィードバックすることが求められています。
学会や講習会への出席、論文の発表など、認定更新に付与されている最低限の条件は、現場の最前線で活躍する医療従事者にとっては重いかもしれません。
しかし、呼吸療法チームの一員として活躍するためには、理論や治療法などの高度な専門知識が必要不可欠になります。呼吸療法認定士の趣旨にも掲げられていますが、この資格は取得が目的ではなく、取得することによって呼吸療法に関心を持ち、理解を深め、学習し続けることこそが本質といえます。
資格を取得することで活躍できる現場
呼吸療法認定士は、重症患者の呼吸管理のエキスパートであるため、その活躍は救命救急の現場が中心になります。
また、呼吸音のアセスメントへのより深い知識と技術の取得に繋がるため、常に患者さんの呼吸管理が必要になるICU病棟に勤務する看護師の取得も非常に多くなっています。
その他、呼吸器内科に勤務する看護師や、在宅医療を受けている中で呼吸に補助が必要な患者さんへのケアのため、呼吸療法認定士を取得する看護師も増えています。
もちろん呼吸療法認定士として活躍するためにはその分野において力を入れている病院へ移ることも大切ですし、目指すうえでもそのような病院へ行くことで自身のスキルアップにも繋がります。
呼吸療法認定士を目指す人はまずそのような病院を探し、転職をすることでより資格の取得しやすい、取得後も活躍しすい環境へ移ることも重要だと言えるかもしれません。