気管内挿管中の患者さんの口腔内は、唾液の分泌低下・口呼吸による乾燥などがあり、細菌が繁殖しやすい状態にあります。そんな中での【口腔ケア】は、口腔内の清潔維持だけれはなく、呼吸器感染症を予防するためにもとても重要なケアです。
今回は、口腔ケアの中でも特に気管内挿管中の患者さんのケアについておさらいしてみます。
【口腔ケアにおけるチェックポイント】
気管内挿管中の患者さんへの口腔ケアの必要性と実際のチェックポイントをあげてみます。
- 患者の意識レベルに合わせた声掛けを行い、準備を整えたか
- 自然抜管に十分注意して視野を確保したか
- ブラシを使用してブラッシング、十分に洗浄したか
- 舌のケアを行ったか
- チューブの再固定は正しく行ったか
患者の意識レベルに合わせた声掛けを行い、準備を整えたか
気管内挿管中とはいえ、患者さんの意識レベルに合わせた声掛けは必ず行い、不安の軽減に努めます。体位としては側臥位が望ましく、看護師は頭側か横に立つようにします。
必要な物品を途中で取りに行くのは危険ですので、準備はしっかり行いましょう。
自然抜管に十分注意して視野を確保したか
気管内挿管中であれば一番怖いのは自然抜管です。これに注意しながら気管チューブは正中固定とし、バイトブロックなどを利用して十分に開口させます。また口腔内が乾燥している場合は口角に亀裂が生じないよう、保湿剤(ワセリン等)を塗布してから行います。
ブラシを使用してブラッシング、十分に洗浄したか
まず口腔内を、水を少し含んだ(多すぎてはダメです)ガーゼなどで軽く湿らせ、歯のブラッシングを行います。その際、歯茎等からの出血には十分注意します。
また練り歯磨きは歯間に溜まりやすく洗い流すのも難しいので使用しません。歯間ブラシなども用いると良いでしょう。
また洗い流すためには200ml程度の多めの水を使用しますので、しっかり吸引しながら行います。水を流しながら吸引できる洗浄・吸引器付き歯磨き器などもありますよ。
舌のケアを行ったか
患者さんの舌の状態にもよりますが、スポンジブラシや舌用ブラシなどを用いて舌苔もしっかり除去します。
舌の突起の隙間には嫌気性菌が細菌叢を形成しやすいので注意します。希釈した(5~10倍)オキシドールなどを使うと舌苔が取りやすくなるようです。但しこの場合は綿棒やガーゼなどで少量ずつ塗りながら行います。
チューブの再固定は正しく行ったか
最後に、気管内挿管中はまたすぐに口腔内が乾燥しますので、口腔内浸潤ジェルなどを塗布しておきます。
また口角の炎症や口唇の乾燥が顕著な場合は、ワセリンや適切な軟膏などでケアしておきます。最後に挿管チューブを再固定しますが、前回とはずらした位置を考えながら行います。
【カフの確認も忘れずに】
気管内挿管用のチューブには、唾液や、口腔内や印藤に停滞する細菌叢、胃内容物の逆流などを防ぐためにカフが付いています。気管内チューブのの太さや形状によって固定するための(カフに入れる)エアー量は違いますが、これも長期間挿管したままだと自然に抜けてくることがあります。
口腔ケアを行う前には、洗浄液などの誤嚥を防ぐためにも直前にカフの硬さを確認する習慣をつけましょう。カフがあまりに軟らかい場合は、側臥位など体位を変換した時に自然に抜けてくる可能性もありますので、エアーを足してカフの硬さを調節することも必要です。
というわけで
いかがでしたか?今回は「口腔ケア 気管内挿管中の患者」についておさらいしてみました。
気管内チューブは患者さんにとって非常に大切なものです。ちょっとした気遣いの欠如で抜けてしまっては元も子もありませんので、慎重に行いましょう。オカシイと思ったら、リーダーや医師に確認してもらうのも一つの手段です。