消化管の【内視鏡検査】は、病変を把握するだけではなく、検体採取を行うことで診断にも関わる重要な検査ですね。近年、経鼻内視鏡が開発され、検査件数も増えているようです。病棟看護師が実際の検査に立ち会うことは稀だと思いますが、今回はそのポイントについておさらいしてみます。
【消化管内視鏡のチェックポイント】
看護師が行うべきケアについてポイントをあげてみます。
- 検査前のオリエンテーションは済んでいるか
- 既往歴・アレルギーの有無・常用薬などを確認したか
- 患者側の身体的準備、検査に対する精神面での準備ができているか
- 検査に適した体位がとれ、スムーズに検査が受けられるか
- 検査中に起こりうる緊急時への準備が整っているか
検査前オリエンテーション
看護師も極力、医師から患者さんへの説明の席に同席し、検査の目的・患者さんにとっての必要性・検査中に起こりうる合併症やリスクについて説明を聞きます。患者さん・医師・看護師の間で、意思の統一を図るためですね。また、検査に対する準備として、前日までに行う前処置・前日の夕食以降の絶飲食など、患者さんへ分かりやすく説明し実施するのも看護師の役割の1つです。
既往歴、アレルギーの有無、常用薬
入院・外来ともに、患者さんからしっかり聴き取りを行いましょう。極度の便秘や開腹術既往の有無、循環器疾患・糖尿病・喘息など、これまでの既往や常用薬がないか確認します。特に循環器疾患の既往があり抗凝固薬などを服用していると、検査中に組織採取(生検)を行う場合は出血リスクが格段に高くなります。主治医に、中止してよいか、中止期間はどの程度かを確認しておきます。
患者側の身体的準備、検査に対する精神面での準備
次の3.は主に看護師によるチェック事項です。検査当日までの服薬状況や絶飲食の状況を確認します。特に下部消化管検査の場合、当日朝は腸の洗浄を行い、最終便の色や形状を確認しますが、ほぼ水様便にならいと検査が難しくなります。患者さんの精神面へのケアも必要ですし、鎮静剤などを用いる場合もありますので、検査当日の患者さんの心理状態を的確に把握するように努めましょう。
検査に適した体位保持
上部か下部かに関わらず、検査開始時は左側臥位となることがほとんどです。上部の場合は、頭・顔・胸部・腹部が一直線になるように、下部の場合は臀部を後方へ突き出すような体位となります。検査の進行に伴い、右側臥位となる場合もありますが、患者さんにとって安楽で、かつ検査が行いやすい体位をとれるよう、援助します。
検査中に起こりうる緊急時への準備
内視鏡検査における偶発症は、局所麻酔・抗コリン薬、鎮静剤等による副作用も見られますので、その対応策として救急カートは常に使用可能な状態にしておきます。しかし最も多いのは、出血・穿孔であり、この場合は軽症であれば禁食と安静などとなりますが、重症な場合は緊急の開腹手術が必要となります。また生検後に吐血や下血がみられる場合もありますので、検査後のオリエンテーションもしっかり行います。
【内視鏡は検査だけではない】
内視鏡は、実は検査以外でも、治療の分野でも発展してきています。例えば、消化管出血があるケースでは緊急での内視鏡止血術を行うこともあります。そのための準備として、内視鏡室には止血に使用する薬品やクリップなどが常備されているようです。また、異物摘出なども行うことがあります。内視鏡の可能性はどんどん広がっています。
病棟勤務だと検査前の準備や検査後のケアはありますが、検査そのものを見学することは稀だと思います。ですが、実際どのように検査が行われているか、一度見学するとよりイメージしやすいです。