検体検査15 感染症検査のポイント

目的

• 過去から現在に至るまでの感染状況や、治療経過を確認する

必要物品・準備

• 採血用シリンジ
• 検査用スピッツ
  ※真空採血管の場合、真空採血管（スピッツ）、翼状針またはベネジュクト針など
• 駆血帯
• 患者名等のラベル
• アルコール綿
• 非滅菌手袋

観察項目

抗ストレプトリジン0価（ASO）

• 正常値:成人160IU／mL以下 小児250IU／mL以下
• 高値の時:リウマチ熱、急性糸球体腎炎、A群溶連菌感染症など

抗ストレプトキナーゼ（ASK）

• 正常値:成人160IU／mL以下 小児250IU／mL以下
• 高値の時:急性咽頭炎、副鼻腔炎、中耳炎、扁桃腺炎、急性糸球体腎炎など

寒冷凝集素反応

• 正常値:256倍未満
• 高値の時:マイコプラズマ肺炎、伝染性単核症、寒冷凝集素症

梅毒TP抗体（TPAb）

• 正常値:陰性
• 陽性の時:梅毒
• 偽陽性の時:EBウイルスや全身性エリテマトーデスなど

梅毒RPR（STS）

• 正常値:陰性
• 陽性の時:梅毒
• 偽陽性の時:EBウイルスや全身性エリテマトーデス、妊娠、関節リウマチなど

アセスメント

• 正常範囲から逸脱している数値の理由を検討する
• 検査条件などによる手違い、測定ミス、計算違いの有無についても確認する
• ASOは主にA群溶連菌感染症のスクリーニング検査のために行われる
• ASKは主に溶連菌A群・C群の感染歴の推測、治療経過の評価に用いられる
• 寒冷凝集素反応は、マイコプラズマ肺炎の鑑別補助診断としても用いられる
• TPAb、STSは、梅毒の感染が疑わしいときや、手術・輸血時のスクリーニング検査として行われる
• TPAbは治療後も陽性が持続するのが特徴であるが、STSは適切な治療によって陰性化する
• 梅毒血清反応はTPAbとSTSの組み合わせで以下のように認識される
  • TPAb陽性、STS陽性:梅毒治療中、先天性梅毒
  • TPAb陽性、STS陰性:梅毒治癒後
  • TPAb陰性、STS陰性:感染直後（1週間以内）、梅毒非感染
  • TPAb陰性、STS陽性:BFP、顕性梅毒

注意点

• 寒冷凝集素反応検査を施行する際、室温は20～37℃であることを確認する