目的
- 補聴器を必要とする患者が、患者に適した補聴器を選べるように援助を行う
補聴器を必要とする患者の病態
感音難聴
- 感音難聴では、その程度が高度になればなるほど、音量を快適に聞くことが可能な範囲が狭くなる
- 小さい音量は聞き取りにくいが、大きい音量は非常に大きく聞こえる(補充現象)ため、大きい音は苦痛なほど大きく聞こえ、難聴を悪化させる恐れもある
老人性難聴
- 純音聴力検査上では、難聴の程度が軽度であっても、会話を聴き取る力が非常に悪い場合がある
- 内耳機能に特に問題がなくても、脳機能の低下によって、理解力も低下することが多く、特に左側頭葉の機能(ウェルニッケ中枢)の低下がある場合、理解力の低下は著明である
補聴器の種類
- 挿耳型
- 軽度~中等度の難聴の人に適する
- 激しい運動などを行っても落下しにくい
- 聴き取りの効果が比較的良い
- 外観が良い
- 料金が高い
- 耳かけ型
- 軽度から高度の難聴に対応している
- 水分に弱い
- 軽くて小型である
- 装着や操作はやや難しい
- 箱型
- 軽度から高度の難聴に対応している
- コードが邪魔になりやすい
- 音量の調節がしやすい
- 料金が安い
看護のポイント
- 補聴器購入時は高価=聞こえる、安価=聞こえにくいというものではなく、患者の難聴の程度や状況に合わせたものを選択する必要があることを家族にも説明する
- 補聴器の性能よりも大切なのは、フィッティングであるため、購入時には適宜、フィッティングを業者や専門家の人に依頼することが重要であることを説明する
- 老人性難聴の場合、
- 適切な音量で1つ1つ区切りながら会話をする
- 耳元での会話を避け、正面で口元を見せながら話をする
- 相手の理解度を、復唱を促しながら確認する
- 静かな場所でゆっくりと会話をすることが大切である
補聴器のテスト
- 感音難聴の場合、高音部分の障害が多いため、補聴器の設定は高音を強調するように設定されることが多い
- 調整に不具合があると、衝撃音などが雑音として聞こえ、苦痛を伴う
- 低音部分に調整の不具合があると、頭に自分の話し声が響くため、話すことに苦痛を感じる
- 言葉の聞き取りがよくなり、不快感を感じなくなれば補聴器が適合している目安となる