急性中耳炎患者への対応
急性中耳炎患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年6月30日
最終更新日:2013年6月30日
(変更日:2013年11月18日) ※
目的
疾患の概要
- 急性の炎症が中耳に起きている状態であり、鼓膜の腫脹と発赤、激しい耳痛が見られる
- 秋から冬にかけての発症が多い
- 乳幼児の発症率が高く、風邪症候群から続発して発症することも多い
- 風邪症状が数日間持続後に、突然の耳痛が起こる場合が多いが、高熱や耳漏の流出も認められることがある
- 急性中耳炎の原因は、そのほとんどが鼻や副鼻腔、耳管や上咽頭を介した感染である
- 主な合併症として、めまい感、末梢性顔面麻痺、髄膜炎、S状静脈洞炎、感音難聴、乳様突起炎などが挙げられる
- 一般的に治療後の経過は良好だが、反復性中耳炎や滲出性中耳炎あるいは顔面神経麻痺、急性乳様突起炎などを併発する場合もある
- 感染の原因となる菌はインフルエンザ菌、肺炎球菌などが多い
- 乳児の場合、解剖学的に成人との違いがあるため、人工乳の授乳前後の頭位によって、頭位性中耳炎を発症することがある
観察項目
- 鼓膜所見(腫脹、発赤、水泡形成の有無)、耳痛の有無と程度
- 風邪症状(痰、鼻汁、咳、後鼻漏)の有無と発症時期
- 発熱の有無
- 耳閉感、耳漏、聴覚障害の有無と程度
治療
- 保存的治療
- 早期からの抗生剤投与が必要であり、頓用として解熱鎮痛剤を使用する
- 抗アレルギー剤(アレルギー性鼻炎を有する場合)も併用することがある
- 外科的治療
- 鼓膜穿孔があるにも関わらず、十分な排膿が不可能な場合あるいは鼓膜に膨隆や発赤が認められ、高熱や激しい耳痛を併発している場合、外科的治療が適応となる
- 膿の排出および発熱、耳痛、耳閉、聴覚障害などの症状改善を目的として鼓膜切開を施行する
乳幼児の場合は早期対応が望ましいため、鼓膜に膨隆が認められなくても、鼓膜切開を施行することもある
看護のポイント
- 家族へのオリエンテーションを施行する
- 乳児の場合は治療が終了しても、再び中耳炎を繰り返す場合が多いので、急激な体温上昇や耳漏の有無、原因不明の啼泣や頭部を振る動作、手を耳に当てる動作など注意深く観察するように指導する
- 人工乳での育児中の乳児の場合、頭位を高くして授乳するように指導する
- 痰がからんだ咳や鼻汁が持続する場合は早めに病院受診をしてもらい、治療を行ってもらう
- 耳痛の応急処置として、鎮痛剤(小児用バファリンなど)を常備しておく
- 耳痛や耳鳴が改善されても、自己判断で内服や受診を中止しないようにする
注意点
- 診察時、乳幼児や小児の場合は体動が激しく危険なため、状況に応じて、四肢をタオルで包み込む、頭部の固定を2人がかりで行うなどで工夫する
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