副鼻腔嚢胞患者への対応

副鼻腔嚢胞患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月9日
最終更新日:2013年7月9日
(変更日:2013年12月6日) ※

目的

  • 副鼻腔嚢胞患者に適切な看護を行う

疾患の概要

  • 何らかの異常によって、副鼻腔内への分泌液充満、副鼻腔拡大による骨壁の圧排や破、副鼻腔の自然口閉鎖が起こるものをいう
  • 大きく分けて原発性と続発性のものがあり、前者は原因となる明確な既往症がないものであり、後者は外傷や外傷の既往がきっかけで、それに続発したものを指す
  • 嚢胞は、副鼻腔の全てにおいてみられるが、上顎洞嚢胞、前頭洞嚢胞、篩骨洞嚢胞、形骨洞嚢胞らの境界部に発生する複合タイプがある
  • 自然口閉鎖の原因には、炎症による粘膜の瘢痕形成や肥厚、手術による術後変貌、鼻中隔弯曲、外傷による機械的な閉鎖などの異常がある
  • 手術や外傷の既往が明確なものは続発性で、それ以外のものは原発性である
  • 副鼻腔嚢胞の中でもっとも頻度の高いのは術後性上顎洞嚢胞である
  • 嚢胞は良性であり、基本的に予後は良好だが、中には再発を繰り返す場合もある
  • 嚢胞がどこで発生部位したかによって、様々な症状が起こる
    • 前頭洞嚢胞:複視、前頭部痛、眼球突出、眼瞼腫脹など
    • 前篩骨洞から後篩骨洞にかけての嚢胞:複視、眼球突出
    • 後篩骨洞から蝶形骨洞にかけての嚢胞:頭痛、視力障害
    • 上顎洞嚢胞:歯痛、頬部不快感、頬部痛、頬部腫脹、眼球突出など
  • 嚢胞は鼻内所見やX線撮影のみで診断を行うことは困難なため、MRIかCTにて確定診断を行うことが必要である
  • 水平断と冠状断のCTは、嚢胞の局在と範囲、嚢胞の数そして骨壁の有無を正確に把握するのに有効である

治療

  • 急性期の場合には消炎鎮痛薬や抗生物質の投与を行うが、視力障害がある場合や痛みが激しい場合には、嚢胞穿刺にて一時的に嚢胞内の減圧を行う場合もある
  • 穿刺はあくまでも一時的に措置にしかならないため、手術が必須の治療となる
  • 後部篩骨洞嚢胞や蝶形骨洞嚢胞やなどで眼症状(視野障害、視力障害、眼球運動障害など)を伴う場合には、早急に手術治療が必要である
  • 手術方法は嚢胞を全て摘出する摘出術と、嚢胞を鼻腔内へと開放する方法(開窓術) の2通りがある
  • 摘出術の場合、手術によって起こる侵襲が大きく、手術後に切開部の知覚鈍麻やしびれ感、切開痕が残るなどデメリットが多い
  • 開窓術の場合は手術侵襲が少なく、鼻腔と嚢胞にある交通路が閉塞しない限り、症状の再発はなく、切開痕も残らないなどメリットが多いため、基本的には開窓術が第1選択になる

観察項目

  • 眼球突出、眼瞼腫脹、複視、頭痛、視力障害、歯痛、頬部不快感、頬部痛、頬部腫脹、眼球運動障害の有無と程度
  • 術後出血、疼痛の有無と程度

看護のポイント

  • 発熱、疼痛、術後出血などの異常の有無を注意深く観察し、状況に応じて解熱鎮痛剤などの投与を行う
  • 術前から、視力障害や眼球突出などがあった患者には眼の症状も経過観察する
  • 鼻の綿球は汚染したら適宜交換する
  • 術直後は多少なりとも咽頭流血があるが、血液を飲み込むことで嘔気、嘔吐が誘発されるので、飲み込まないように指導する
  • 血圧上昇により、術後出血を起こす危険があるので、入浴や運動は手術後1週間は行わないようにする
  • 退院後、約2~ 3週間は鼻内の乾燥やかぜの予防のためにマスクを装着することを勧める
  • 定期通院の必要性について説明する
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